EU|JRC調査|循環経済における地下空間と重要資源の法的ガバナンス

EUの地下空間・資源の調査報告

2021年10月に「循環経済における地下空間と重要資源の法的ガバナンス」と題する調査報告が公表されました。これはEUの欧州委員会共同研究センター(JRC)の調査報告の一部として、JRC刊行物レポジトリーに収載されています。調査では、過去20年間に地下資源や空間の多重利用が進んだことで、現在のEUやその加盟国の国内法規制の枠組みや知識ベースでは、持続可能な開発の観点から効率的な管理ができない問題が増えているという問題的から報告を始めています。

目的

本調査の目的には大きく分けて次の2点が挙げられています。

■ 地下空間の現在および将来の潜在的な利用について、簡略化した類型と相互に関連する問題の概要を示すこと。

■ EUおよび加盟国で施行されている法律と所轄官庁のスキームを評価し、情報管理の手法と概念を示すこと。

基本的なスタンスとしては、地下空間を戦略的な国家資源・資産として法的に認めること、EUおよび国家レベルでその複雑な計画と利用を規制するためのオプション、さらに経済的なインセンティブや年金のオプションを強調することに触れられています。

地下空間・資源の整理

調査報告の表1では、「地下資源の潜在的なクラスター化と類型化」と題して表整理が設けられています。これは主に地下資源についての整理を目的とするものですが、地下空間の把握の観点からも非常に有用なので、一部仮訳し、ここに紹介致します。

地下資源用途   典型的な深さ 資源の種類  
天然資源掘削 鉱物 0–4000 m    
  オイル&ガス 0–6000 m (max. 10.6 km) ストック(フロー)
有限、再生不可能
 
  地熱エネルギー 0–6000 m フロー 条件付き再生可能
  地下水 0–2000 m   条件付き再生可能
  地球物理学的な力 not relevant   無限、再生可能
地下空間利用 ガス&水貯蔵 100–3500 m 自然/人工、有限  
  CCS 1000–3500 m 自然/人工、有限  
  廃棄物処理 0-1500(?) m 自然/人工、有限  
  防衛 0-1000(?) m 人工、有限  
  調査&アーカイブ 0-2400 m 自然/人工、有限  
  都市インフラ 0–100 m 人工、有限  
  都市間インフラ 0-2300 m 人工、有限  
表1を一部仮訳:Hamor-Vido, M., Hamor, T. and Czirok, L., Underground space, the legal governance of a critical resource in circular economy, RESOURCES POLICY, ISSN 0301-4207, 73, 2021, p. 102171, JRC125757.

同調査報告では、EU機能条約(TEFU)は、いくつかの地下プロジェクトを規制し、EIA、市民保護、公開競争、情報管理に関する水平方向のルールを提供していますが、土壌・下層土、非燃料鉱物、土地利用計画については、EUレベルでの共通ルールの確立に向けた取り組みは成功していないとし、これらの資源は、国家の基本的な物質的資産を表しており、そのような法制化の取り組みが提案された際には、補完性の原則が適用されてきたことを取り上げています。

予備的な結論(preliminary conclusion)という位置づけで、空間を含むすべての地下資源の監督と管理をカバーするために、EUレベルで一貫した立法構想を期待することは非現実的であると指摘し、他方、政策通達やガイダンス文書は、協調的な法的解決を促進する可能性があるとしています。

また、ほとんどの国では、地下空間を法的に管理するためには、憲法や民法、地下天然資源の原所有権が規定されている国有資産法の改正が必要であることを指摘し、そのような改正では、土地や地上設備(駐車場、地下室、ヒートポンプ、地熱井戸など)の所有権が及ぶ絶対的または相対的な深さについても明確な規定を設ける必要があるとしています。別の方法として、鉱物や化石燃料の所有権を規定する鉱業法は、地下空間に関するこのような強化された規定に対応することもできることにも触れています。

国の許認可の手続き規制については、オランダをグッドプラクティスとして取り上げ、3D土地利用計画支援情報システム、つまり、二次元の土地利用計画を三次元の土地利用計画と許認可制度に整備し、それを情報プラットフォームで管理・運用する仕組みについて、参考にすべきものとしています。オランダで2021年に施行された環境・計画法がそれにあたるとし、市民や企業は、「ワンストップショップ」でデジタル許可証を申請し、自治体や州が判断することになるとしています。

金融・財政手段については、地下資源の利用や開発に関わる企業は、特定の税金等に直面しなければならず、土地利用税、埋立て税、水使用料、環境賦課金などが例示されています。鉱物や燃料の場合は、資源利用料(利権料)としてのロイヤリティにも言及されています。

以上、JRC報告の一部紹介でした。JRCの調査結果はよく規制検討段階のそのさらに前段階の資料として参考にされることがあります。上記報告では様々な論点が浮き彫りになりますが、報告にもあるように、EUで一律に地下空間利用・資源の権利を規定するのは非現実的で、各加盟国の国内法に依拠することになると見込まれながらも、一定の共通方針等が示される可能性はあります。

■ Hamor-Vido, M., Hamor, T. and Czirok, L., Underground space, the legal governance of a critical resource in circular economy, RESOURCES POLICY, ISSN 0301-4207, 73, 2021, p. 102171, JRC125757.
■ Joint Reserch Centre (JRC) / European Commission

 

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