米国|TSCA PFAS報告・記録規則の提出期限変更とTSCA塩化メチレン規則の遵守期日変更案

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米国|TSCA PFAS報告・記録規則の提出期限変更とTSCA塩化メチレン規則の遵守期日変更案

PFAS報告期間は2026年04月13日~10月13日に変更

2025年05月、米国の有害物質規制法(TSCA)に関連して、PFAS報告・記録規則の提出期限変更とTSCA塩化メチレン規則の遵守期日変更案がそれぞれ連邦官報に掲載されました。

概要・背景

PFAS報告・記録規則について

■ 2023年10月に公布された規則では、2011年から2022年までの間に、PFASを製造した製造者(輸入者を含む)に対して、暴露および環境と健康への影響に関する特定のデータを環境保護庁(EPA)に報告することを義務付けていた。

■ 今回の変更は、EPA がこのデータを回収するための報告申請の準備にさらに時間を要するため、必要なものとされており、EPAは、この規程の特定の側面について、別途、パブリックコメントの募集を再開することを検討しているという。

塩化メチレン規則について

■ TSCAに基づいて個別に設けられているリスク管理規則には、様々な物質についてのものがある。そのうちの一つに、塩化メチレン(メチレン・クロライド)に関するものがある。

■ 塩化メチレンに関する規則では、多種多様な要件が設けられており、適用開始日(遵守期限)も各要件に対応させて、細かく規定されている。

■ 今回、EPAは、連邦政府に代わって活動する機関または連邦政府契約業者が所有または運営していない研究所・実験室について、作業場化学品保護プログラム(WCPP)および関連する記録保持の遵守期日を18ヶ月延長することを提案している。

注目すべき内容

PFAS報告・記録規則の提出期限変更

■ データ提出期間:2026年04月13日~10月13日

※ 成形品輸入者としてのみ報告を行う小規模製造者の提出期限:2027年04月13日

塩化メチレン規則の遵守期日変更案

■ 連邦政府に代わって活動する機関または連邦政府契約業者によって所有または運営されていない研究所・試験施設について、作業場化学品保護プログラム(WCPP)および関連する記録保持の遵守期日を18ヶ月延長することを提案。

■ 暴露限界値に関する要件の適用開始:

塩化メチレンの2ppm-8h TWAの暴露基準(ECEL)の適用、16ppm-15minの暴露基準(STEL)の適用

- 2027年02月08日:連邦政府機関、連邦政府のためにまたは連邦政府に代わって行動する連邦政府契約業者、および実験・試験用化学物質として塩化メチレンを使用する所有者または事業者

- 2025年08月01日:その他の所有者および事業者

- 作業場に導入してから4ヶ月後:2025年05月05日以降に塩化メチレンの使用が開始された場合

※ その他、規制区域、モニタリング、管理手順・計画、暴露管理計画、呼吸器、訓練などに関連する要件にも修正が加えられています。

参考情報

■ PFAS報告・記録規則の提出期限変更

■ 塩化メチレン規則の遵守期日変更案

有害物質規制法(TSCA)とは?

米国の「有害物質規制法」、通称「TSCA」は、化学物質の管理・規制に関する米国の国レベルの基本的な法令の一つです。日本の化審法、EUのREACH規則と並べて、あるいは比較して言及されたりもします。 合衆国法典では第15編、第53章に収載されており、全部で6つの大項目から構成されています。このうち、日本の事業者が関心が高く、よく相談が持ち込まれる大項目は、「有害物質の管理」、「複合木材製品のホルムアルデヒド基準」です。

目次

SUBCHAPTER I 有害物質の管理 SUBCHAPTER II アスベスト有害性緊急対応 SUBCHAPTER III 屋内ラドン削減 SUBCHAPTER IV 鉛ばく露低減 SUBCHAPTER V 健康的な高いパフォーマンスの学校 SUBCHAPTER VI 複合木材製品のホルムアルデヒド基準

注目される制度

TSCAのもとでは様々な規制が敷かれていますが、事業者からの相談・問い合わせが多く、注目度が高い制度には次のものが例として挙げられます。

新規化学物質の製造前届出(PMN)制度

■ 第5条(§2604)(a)(1)に基づき、新規化学物質の製造・輸入・加工については、90日前までにEPAへの届出が必要

化学物質の試験制度

■ 第4条(§2603)に基づき、EPAが人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、化学物質や混合物の製造、商業流通、加工、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせに関連して、関連事業者に試験の実施を要求することができる。関連規則に基づき、規則や同意命令などの形で発出される。

重要新規利用規則(SNUR)

■ 第5条(§2604)(a)(2)に基づき、化学物質の使用が、通知が必要とされる重要新規利用(Significant New Use)であるかどうかをEPAが判断し、必要に応じて規則を設ける。特定されたものについて、製造者・輸入者や加工業者は、当該新規利用を開始する90日前までに関連規則に基づいた通知(SNUN)が必要とされる。

化学物質のリスク評価制度に基づく個別の規制

■ 第6条(§2605)に基づき、EPAが化学物質または混合物の製造、加工、商業流通、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせが、人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、規制を定める規則の検討を行う。

既存化学物質の管理制度

■ 第8条(§2607)に基づく記録保持・報告要件は、インベントリー制度としても知られている。EPAが化学物質についての情報をインベントリーとして管理するために、事業者には情報の提出や更新が求められている。

輸出入規制

■ 輸出(§2611)や輸入(§2612)についても規制が敷かれているが、特に注目されるのは、輸入時における「TSCA証明」である。詳細は規則で規定されているが、輸入化学物質が TSCA に準拠していることを証明する方法(positive certification)と、TSCAの適用外であることを証明する方法(negative certification)が存在する。

複合木材製品規制

■ 米国内で販売、供給、販売促進、製造、輸入される複合木材製品は、TSCA Title VI適合と表示されなければならない。これらの製品には、広葉樹合板、中密度繊維板、パーティクルボード、およびこれらの製品を含む家庭用品やその他の完成品(finished goods)が含まれる。自主的合意基準、第三者認証制度など要件遵守保証のための制度が導入されている。

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