EU|使い捨てプラスチック製品の消費削減量の算出方法・報告様式等を指定|SUP指令関連
EUのSUP指令を補足する実施決定
2022年02月07日、欧州官報で特定プラスチック製品の環境影響低減指令(通称「SUP指令」)に係わる使い捨てプラスチック製品の消費削減量やデータ報告形式等の詳細を定める実施決定が公布されました。同決定は02月27日から施行されます。「使い捨てプラスチック製品」は、Single-Use Plastic、つまり一度しか使用されないプラスチック=使い捨てプラスチックとして、「SUP」または「SUP製品」としても知られています。
SUP指令
SUP指令は、附属書記載のSUP、酸化型生分解性プラスチック、プラスチックを含む漁具に適用され、それらの環境、特に水生環境とヒトの健康に与える影響を防止・低減することを目的とする法令です。
加盟国に対して、SUPの消費削減目標を2022年比、2026年目標として設定し、対策を講じることを要求しています。講じる措置には、次のものを含まなければなりません。
■ 国の削減目標
■ SUPの再使用可能な代替品がエンドユーザーへの販売時点で利用可能とする措置
■ それらSUPがエンドユーザーへの販売時点で無償で提供されることがないようにする経済的手段
各国の講じる措置とその監視情報・進捗情報等は欧州委員会に報告する必要があります。
この際、SUPの消費量の計算方法・検証方法やデータの報告様式の詳細について、別途実施法令で規定するとSUP指令では規定していました。今回の動向はこの条項に対応するものとなります。
SUP消費削減量の計算方法
SUP指令第4条2項では、2021年01月03日までに詳細を定めるとされていましたが、およそ一年遅れで実施法令が出てきたことになります。加盟国がSUPの消費削減量の算出に用いるべきパラメータと計算式は次の通りです。
パラメータ
■ 暦年に加盟国で上市されたSUPに含まれるプラスチックの総重量
■ 暦年に加盟国で上市されたSUPの数
計算式
飲料用使い捨てプラスチックカップ(カバーや蓋を含む)について
暦年あたりの加盟国消費削減量(ConRedCfB)=( 特定暦年に上市された使い捨てプラスチックカップの★(PoMFC(t))ー2022年に上市された★)/2022年に上市された★) ×100
★=飲料用カップに含まれるプラスチックの総重量(トン)またはプラスチックカップの数を意味します。重量で産出する際は重量を、数で算出する場合は数についてのパラメータを当てはめる形になります。
2022年に上市された含有プラスチック総重量またはカップ数からの増減を百分率で示したものです。ここで、PoMCfB(t)という表現が用いられていますが、(t)はトンではなく、参照暦年(reference year)を意味している点にご注意ください。
ConRed=Consumption Reduction, CfB= cups for beverages
他方、使い捨てプラスチック食品容器について
暦年あたりの加盟国消費削減量(ConRedFC)=(( 特定暦年に上市された使い捨て食品容器の▲(PoMCfB(t))ー2022年に上市された▲)/2022年に上市された▲) ×100
▲=食品容器に含まれるプラスチックの総重量(トン)または食品容器の数を意味します。重量で産出する際は重量を、数で算出する場合は数についてのパラメータを当てはめる形になります。
FC=food container
輸出入の考慮
エンドユーザーまたは使用者に提供される前のSUPについて、EU域内での輸出入がある場合、加盟国は上市されたSUPの重量または数を調整できるとされています。
データ報告の様式
加盟国から欧州委員会へ報告する際の様式を定めるよう指示する規定にはいくつかの種類があります。今回規定するのは、指令第13条「情報システムおよび報告」の第1項(a)および(b)項について、2021年01月03日まで規定するよう求める同条第4項第1段落の規定に対応するものです。
指令第13条「情報システムおよび報告」の第1項(a)および(b)項とは、次のものを意味します。
(a)項 ⇒ 消費量の削減を証明するために、各年に加盟国の市場に出された附属書パートAに記載された単回使用プラスチック製品のデータ
(b)項 ⇒ 加盟国が講じた措置に関する情報
このうち、(a)項に対応する報告様式が今回の実施決定の附属書II、(b)項についてが附属書IIIとなっています。また、関連する品質チェック報告書は附属書IVに従うようにとされています。
このほかに、(c)~(f)まで報告要件があり、それぞれについて、指定の期限までに実施法令を定めるよう規定があります。
(c)項 ⇒ 毎年加盟国で回収されたプラスチックを含む漁具と廃漁具に関するデータ
(d)項 ⇒ 毎年加盟国で分別収集された附属書パートFに記載されているSUPのデータ
(e)項 ⇒ 附属書パートFに記載された飲料ボトルのリサイクル材料に関する情報
(f)項 ⇒ 附属書パートEのセクションIIIに記載されているSUPの消費後の廃棄物に関するデータ
指令、決定と事業者
SUP指令も今回の実施決定も、加盟国が欧州委員会に対して果たすべき義務に関連する内容であるため、事業者には関係ないと思いがちです。しかし、SUP指令のもとで加盟国が義務を履行するには、各加盟国が国内法で、そのための要件を整備する仕組みになっています。そして各加盟国の国内法で要件を課す主な対象は事業者です。欧州委員会に対して各加盟国がデータを提出する必要があるということは、各加盟国は各国内の関連事業者等からデータを収集することになり、そのための法整備がなされるであろうことが予期されます。
したがって、各加盟国内で関連法令が整備される前だとしても、この大枠の情報要件、各加盟国に対して求められている情報要件を知っておくことで、事業者として事前にデータ収集やデータ提出に備えることも可能となります。もし、飲料用使い捨てプラスチックカップや使い捨てプラスチック食品容器をEU域内のいずれかの加盟国内で上市する、あるいはサプライチェーン上で上市する事業者がいる場合などは、今回の実施決定の情報を関係者と共有しておくことで、早期から情報収集やデータ提出に備えることができるでしょう。
使い捨てプラスチック製品(SUP)とは?
SUP指令で対象とする「使い捨てプラスチック製品」とは具体的にどういうものでしょうか。適用範囲は附属書記載のSUP、酸化型生分解性プラスチック、プラスチックを含む漁具となっておりますが、多くの企業が関心があるのは、このうちの附属書記載のSUPと酸化型生分解性プラスチックではないでしょうか。
附属書記載のSUP
附属書IではパートAからFまで規定があり、それぞれ「第○条の要件の対象となるSUPは~」という形で規定されています。ここでは概説として、附属書Iで列挙されているSUPを簡単に紹介致します。消費削減目標に関連するもの、マーキング要件に関連するもの、拡大生産者責任に関係するものなど様々です。それぞれどの条項に対応するのかについては、原文をご参照いただくか、本文末より調査についてご相談ください。
■ 飲料用プラスチックカップ(カバー及び蓋を含む)
■ 食品容器
■ 綿棒
■ カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン、箸)
■ プレート類
■ ストロー
■ 飲料用撹拌器
■ 風船に取り付けたり、支持したりするための棒
■ 発泡ポリスチレン製の食品容器(蓋の有無にかかわらない)
■ 発泡ポリスチレン製の飲料容器(カバー及び蓋を含む)
■ 発泡ポリスチレン製の飲料用カップ
■ 3リットルまでの容量を持つ飲料容器
■ ガラス製または金属製の飲料用容器で、プラスチック製のキャップおよび蓋を有するもの
■ 生理用タオル(パッド)、タンポン、タンポン用アプリケータ
■ ウェットティッシュ、すなわちあらかじめ濡らしたパーソナルケア用および家庭用ワイプ
■ フィルター付きのたばこ製品およびたばこ製品と組み合わせて使用するために販売されているフィルター
■ 柔軟性のある素材で作られたパックや包装紙で、さらなる準備なしにパックや包装紙からすぐに食べることが意図された食品を含むもの
■ 軽量プラスチック製キャリアバッグ
■ 風船
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