どの経済活動が持続可能かの判断基準を設定へ

2020年06年22日に公布された規則（EU）2020/852、「タクソノミ－規則」と呼ばれる本法令をご存じでしょうか。結論から述べると、EUで事業を行う企業、EUへ製品を出す企業の全てに関係する法令です。「金融・投資分野と聞いたから関係ないのでは？」と思われるかも知れませんが、その点は規則の第1条「主題と範囲」を確認するとすぐに明確になります。

1. This Regulation establishes the criteria for determining whether an economic activity qualifies as environmentally sustainable for the purposes of establishing the degree to which an investment is environmentally sustainable.

2. This Regulation applies to:

(a) measures adopted by Member States or by the Union that set out requirements for financial market participants or issuers in respect of financial products or corporate bonds that are made available as environmentally sustainable;

(b) financial market participants that make available financial products;

(c) undertakings which are subject to the obligation to publish a non-financial statement or a consolidated non-financial statement pursuant to Article 19a or Article 29a of Directive 2013/34/EU of the European Parliament and of the Council (68), respectively.

第1項にて、「投資が環境側面から持続可能であるかどうかその尺度を設ける目的で、環境側面において持続可能であるとする経済活動かどうかを判断する基準を設ける規則」とされています。つまり、確かに投資における評価尺度設定というものが大きな目的としてありますが、それを定めるために、その「投資の対象となる経済活動そのものが持続可能かどうかを評価する基準を設ける」こととされているのです。

企業が気をつけなければいけないことは？

■　枠組みを知っておくこと
欧州委員会は、環境目的ごとに技術的審査基準を定め、環境的に持続可能な活動のリストを作成すること規定しており、それらは委任法（delegated act）で別途規定されます。しかし、それらが出てきても、その大元となる本規則について知っておかなければ、理解は進みません。

EUタクソノミ－規則の和訳発売決定！

全27条から構成されるタクソノミー規則は、今後の欧州における環境に対して持続可能な経済活動とは何か、その基本的な判断基準を定める背景に位置づけられる基本的な法令です。当社ではその重要性から、本規則の和訳の作成・発売を決定しました。和訳発売時期は2021年10月末～11月上旬の見込みです。また、解説書の作成・販売も予定しており、こちらは11月上旬～中旬に発売の見込みです。

発売時のお知らせ

和訳文書および解説書の発売のお知らせは当社ウェブサイト上で行うほか、無料のメールマガジンでも配信します。いち早く情報を入手したい方は無料メールマガジンへ是非ご登録ください。

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タクソノミ－規則に基づく委任法の動向

タクソノミー規則では詳細な規定を別途委任法で定めるという内容がいくつか含まれます。2021年10月上旬に確認できる関連動向は次の２点です。

■　気候変動適応および緩和を目的とする持続可能な経済活動に関する委任法

「EUタクソノミ－気候委任法」とも呼ばれるこの委任法については、2021年04月21日に基本的に承認され、同年06月04日に共同立法者による精査のために欧州委員会により正式に採択されました。2021年10月上旬時点で、精査手続きが進められており、その後、問題がなければ欧州官報にて公布される見込みです。この法令案は附属書が産業分野ごと、経済活動ごとの基準を記載したものとなっており、膨大な分量となっています。

■　タクソノミー規則第8条「非財務報告書における企業の透明性」を補完する委任法

正式名称は、「環境的に持続可能な経済活動に関する指令2013/34/EUの第19a条または第29a条に従う事業者が開示すべき情報の内容と表示方法を規定し、その開示義務を遵守するための方法論を規定することにより規則（EU）2020/852を補完する規則」となりますが、とどのつまり、「企業が開示すべき情報」について、タクソノミー規則を補完する形で設けられる新たな規則です。この委任法は2021年07月06日に欧州委員会により採択され、2021年10月上旬時点で、同様に精査手続きが進められています。その後、問題がなければ欧州官報にて公布される見込みです。こちらは全10条からなる補完法令案です。