米国|TRIへ9種PFASの自動追加の改正規則の公布と関連規程の明確化のための改正規則案の公表

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米国|TRIへ9種PFASの自動追加の改正規則の公布と関連規程の明確化のための改正規則案の公表

TRI対象に自動追加されるPFAS9種と明確化のための改正

2025年01月06日、米国連邦官報にて「有毒物質放出インベントリー(TRI)」の報告対象物質に9種類のPFASを追加する改正規則が公布されました。この動きは、2020年度国防授権法(FY2020 NDAA)第7321条に基づくものであり、特定の条件を満たすPFASまたはPFASのクラスがTRIに自動的に追加されるケースについて定める規定を背景としています。

また、01月17日には、それに関連した規程の明確化のための改正規則の案が公表されています。具体的には、TRI制度における「有毒物質(Toxic chemical)」の定義を更新して、TRI対象物質リストに自動的に追加される物質も、当該定義に該当することを明確にしています。

改正規則では、TRI収載物質やそれを含む混合物、または他の商標製品を受け取る顧客に対して供給業者は、各暦年の最初の出荷時に通知することが必要であること、このような要求事項は該当年の01月01日に開始されるため、NDAAにより追加されたPFASについては01月01日時点で供給業者による通知が必要となることをあらためて周知しています。

TRI対象物質への特定PFASの自動収載

追加対象物質

  物質 CAS No.
1 Perfluoro-3-methoxypropanoic acid 377-73-1
2 Ammonium perfluorodecanoate (PFDA NH4) 3108-42-7
3 Sodium perfluorodecanoate (PFDA-Na) 3830-45-3
4 6:2 Fluorotelomer sulfonate sodium salt 27619-94-9
5 6:2 Fluorotelomer sulfonate acid 27619-97-2
6 6:2 Fluorotelomer sulfonate potassium salt 59587-38-1
7 6:2 Fluorotelomer sulfonate ammonium salt 59587-39-2
8 6:2 Fluorotelomer sulfonate anion 425670-75-3
9 Acetic acid, [(γ-ω-perfluoro-C8-10-alkyl)thio] derivs., Bu esters 3030471-22-5

FY2020 NDAAに基づき、PFASがTRI対象物質に自動的に追加されるケース

■ 以下の日付のいずれか1つ後の暦年の01月01日から追加

ー 最終毒性値について:PFAS または PFAS のクラスについて、行政官が毒性値を確定した日
ー 重要新規利用について:EPAがPFASまたはPFASのクラスについて対象決定を行った日
ー 既存の重要新規利用規程への追加:PFASまたはPFASのクラスが、対象決定により対象物質リストに追加された日
ー 活性化学物質としての追加:対象決定が適用される PFAS または PFAS のクラスがTSCA第8条(b)(1)リストへ追加された日

※「対象決定(covered determination)」とは、TSCA第5条(a)(2)に基づく重要新規利用の決定のことを指すと定義されている。

PFAS自動追加に関連する規程の明確化のための改正案

定義の更新

■ 「有毒物質(Toxic chemical)」の定義が次のように更新することが提案されています。

「有毒物質(Toxic chemical)」とは、§372.65に記載されている化学物質または化学物質カテゴリー、あるいは15 U.S.C. 8921(c)(1)に従い緊急事態計画および地域住民の知る権利法(EPCRA)第313条の化学物質リストに追加された化学物質をいう。

参考情報

■ TRI対象物質へのPFAS追加収載について/連邦官報
■ National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2020
■ PFAS自動追加に関連する規程の明確化についての案/連邦官報

 

有毒物質放出インベントリー(TRI)とは?

「有毒物質放出インベントリー(TRI)」制度は、「緊急事態計画および地域住民の知る権利法(EPCRA)」の第313条等を背景に設けられている化学物質管理および有害性周知のためのプログラムです。

事業者に対して対象物質に関する情報提出を求め、その報告された情報を集計し、公開することで、一般市民および対象施設の周辺地域社会に有毒化学物質の放出に関する情報を提供することや、関連する規則やガイドライン、基準の策定を支援することを目的としています。

対象物質

■ 有毒物質

・・・§372.65に記載されている化学物質または化学物質カテゴリー、および、
・・・15 U.S.C. 8921(c)(1)に従い緊急事態計画および地域住民の知る権利法(EPCRA)第313条の化学物質リストに追加された化学物質 (25/01/17改正規則案)

対象事業者、対象施設

■ 対象事業者:§ 372.22や § 372.45に記載されている施設の所有者(Owners)および運営者(Operator)
※ 所有者と運営者が異なる場合は、施設から流通される混合物または商標製品(trade name product)に含まれる各有毒物質について、一方のみが報告する必要がある。

■ 対象施設:施設に10人以上の常勤従業員がいること、特定の産業分類コードに該当すること、対象物質の適用閾値(§ 372.25,§ 372.27,§ 372.28)を超えて製造(輸入を含む)、加工、またはその他の方法で使用していること、などの条件(§ 372.22 )に該当するもの

記録要件

■ § 372.10に定める記録の保持(3年間)

記録要件

■ § 372.10に定める記録の保持(3年間)

罰則規程

■ 違反者は各違反につき25,000ドル/日を超えない金額の民事罰の責任を負う。等

2020年度国防授権法(FY2020 NDAA)とは?

2020年度国防授権法(FY2020 NDAA)は、本来TRI制度と本質的な関係はない法令です。FY2020 NDAAは、その名の通り、国防や国益のために様々な法令の改正を含む法律であり、その中の一つに、TRI制度に対する改正が含まれています。

■ FY2020 NDAA「第7321条 TRIへの追加」では、即時収載するPFAS、○年以内に追加するPFASなど様々な規程を設けていますが、その中で、今回の自動追加に関連する内容は、「(c) 評価後の収載」に規定される内容です。

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