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ゲノム・DNA操作 解説|中国 遺伝子操作と法規制

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国際枠組みと中国

遺伝子操作とは、植物、動物、人間を含む生物が持つDNA遺伝子を改変することを指します。遺伝子操作は主に、「遺伝子編集」という遺伝子がもともと持っている性質を改変する方法と「遺伝子組換え」という新しい性質を付け加える方法を用いて遺伝子を操作することを指しています。

遺伝子操作によって作成された遺伝子組換え生物(日本語では遺伝子編集された生物も遺伝子組換え生物と呼ばれることが多いため、以下では遺伝子組換え生物としています。)は、生物多様性条約(CBD: Convention on Biological Diversity1)の条約第19条3項により「バイオテクノロジーによって作り出された生きている改変生物 (本稿ではGMOとする2)であって生物多様性の保全および持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるもの」と定められ、「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書、Cartagena Protocol on Biosafety)3」によってその取扱いが定められています。

この議定書は現在では、170以上の国と地域が締約しており、中国も締結しています。

中国と遺伝子操作

中国では、研究目的の研究機関(閉鎖環境)による遺伝子操作は認められています。遺伝子組換え産物を4つのリスクグループに分類し、研究室もしくは研究機関が独自に承認することで、取り扱いに対応しています。ちなみに、リスクグループ1はどの疾患とも関連しておらず、リスク群2は重篤ではない疾患に関連しており、リスクグループ3は治療が利用可能でリスクグループ4が既知の治療法のない重篤な疾患に関連しています。2021年に中国国営の新華通信によると、習主席は生物安全強化のための共産党中央政治局第33回集団学習で「中国の生物安全の危険予防および統制システムには依然として不十分な点がある」と指摘しているため、今後の国家もしくは規制の方法が注目されています。

一方、環境中に放出される遺伝子組換え生物(GMO)に対する中国の規制政策は、2001年に「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例(农业转基因生物安全管理条例)[3]」が国務院より公布され、規定されています。さらに2002年に関連規則として「農業遺伝子組み換え生物安全評価管理規則(农业转基因生物安全评价管理办法)4」(国内安全管理)、「農業遺伝子組み換え生物輸入安全管理規則(农业转基因生物进口安全管理办法)5」(輸入承認)、「農業遺伝子組み換え生物表示管理規則(农业转基因生物标识管理办法)6」(表示規則)が農業部により制定されました。さらに2006年には「農業遺伝子組み換え生物加工管理規則(农业转基因生物加工审批办法)7」(加工用承認)が制定されました。なお、「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例」および関連諸規則は2017年に一部改訂され、野外試験や動物実験の実施を国内研究機関に申請者が委託できるなどの変更が行われました。

基本的な方針に関しては、農業部(农业部)、衛生部(卫生部)、科学技術部(科学技术部)、生態環境部(生态环境部)、国家品質監督検疫総局(国家质量监督检疫总局)、対外貿易経済協力部(中国对外贸易经济部)、国家発展計画委員会(国家发展和改革委员会)の7省庁の代表者で構成する会議で協議されることになっています。また、農業部には「農業遺伝子組み換え生物安全委員会(农业部公布农业转基因生物安全委员会)」が年2回以上開催され、専門的な観点による安全評価を行うこととなっています。基本的に、組み換え生物の研究、試験、生産、加工、管理、輸出入のプロセス全体の法整備を農業部省が担っています( 8に詳しくまとめてあります)。

遺伝子組換え作物の安全性評価は、実験室レベルでの試験以降、「中間試験」「環境放出試験」「生産性試験」の3ステップで審査され、それぞれのステップへ進むためには、農業部への申請が必要になります。「生産性試験」の審査後に、農業部へ安全証明を申請し認可されると、安全証明書が交付されますが、安全証明書の有効期限は一般に5年を超えると更新する必要があります。具体的な評価では、導入遺伝子や導入方法など総合的な評価から、4段階で安全性評価(「危険性なし」~「高度の危険性」) が判断されます。 輸入品の安全性規制については、使用目的に応じてさまざまな承認手順(通関許可、試験、安全性評価)があり、最終決定は農業部が行います。以上の規制は、生物として、微生物、植物、動物に適用されています。

植物(作物)

中国はアジアの中で遺伝子組換え作物を積極的に生産している国です。基本的な部分は遺伝子組換え作物の作成に対し、先に述べたGMOとして法律の規制が適用されています。また、特に遺伝子組換え穀物を含む穀物全般に関しては5年に1度(最新は2017年9)に国家食品安全計画が通知され、研究開発・生産・運営の使用を先の法律に従い厳格に規制することが地方政府に求められています。中国においては遺伝子組換え体や組換え体に由来する原料から製造した生産物には表示が求められることになります。現在は、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタが加工原料として、トマト、ピーマンなどが食品として表示対象リストに入っています。ただし、意図せざる混入を許容する閾値については、明示的に定められていません。また表示の監視は地方政府に委ねられています。

動物

中国では来る食糧問題や医療問題を重要視し、家畜(豚、馬など)や家禽類(ニワトリなど)を遺伝子資源と考え「資源目録[10」を作成しています。また、研究レベルでは、知的財産大国建設大綱(2021-2035)11内に遺伝子組換え技術(基因技术)を加えるなどしてバイオテクノロジーの発展を目指し、技術革新を論文に発表しています。しかし、研究室レベルを超えて生産物となっている報告はありません。

人間

中国で承認された遺伝子治療製品は2021年度現在、癌に対する製品として2品が承認されています。生殖を目的とした生殖細胞系列の遺伝子改変治療については、政府レベルで実施を規制する法律はありませんし、研究費などのサポートもされていません。しかし、遺伝子疾患に対する究極の予防医療として、ヒト受精卵遺伝子編集の基礎研究は進められています。2018年にHIVに抵抗力を持つような遺伝子に改変した受精卵を用い、双子の女児が生まれた事件をきっかけに2019年にゲノム編集技術等を用いた受精胚等の臨床利用に関する条例(人类遗传资源管理条例[12]12)が整備され今に至っています。

  1. https://www.cbd.int/
  2. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/201007/P020180108595037422769.pdf
  3. 一般的にはGMO: Genetically Modified Organismと呼ばれるが定義があいまいなため、 LMO: Living Modified Organism resulting from biotechnologyと記載されることもあります。
  4. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/201609/t20160914_5273766.htm
  5. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/201007/P020180108605624503750.pdf
  6. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/201007/P020180108600379197885.pdf
  7. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/201007/t20100717_1601301.htm
  8. http://www.moa.gov.cn/ztzl/zjyqwgz/zcfg/
  9. http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-02/21/content_5169755.htm
  10. http://www.gov.cn/xinwen/2020-05/29/content_5515954.htm
  11. http://www.gov.cn/zhengce/2021-09/22/content_5638714.htm
  12. http://www.gov.cn/zhengce/content/2019-06/10/content_5398829.htm

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