| 法令の情報時期:2026年03月 統合版 | ページ作成時期:2026年06月 |
目的
本指令は、以下の事項に関する規則を定めることを目的としている(第1条参照)。
■ 企業の自社の事業活動、子会社の事業活動、及び活動チェーン内のビジネスパートナーの事業活動に関する、実際の及び潜在的な人権への悪影響及び環境への悪影響に関する企業の義務。
■ 上記の義務違反に対する責任。
概要
本指令は、一定規模以上の企業に対し、人権及び環境に関するデューディリジェンスの実施を義務付けるものである。
■ 背景・問題意識:
企業による人権及び環境への悪影響への対応を確保するとともに、加盟国ごとに異なる規制を調和するため、EU全体で共通の枠組みを整備する必要があった(前文参照)。
■ 適用対象の事業者:
- EU域内企業:従業員数が平均5,000人超、かつ全世界での純売上高が15億ユーロ超の企業、又はこの基準を満たすグループの最終親会社。
- EU域外企業:EU域内での純売上高が15億ユーロ超の企業、又はこの基準を満たすグループの最終親会社。
- 特定の契約企業:EU域内でフランチャイズ契約又はライセンス契約を締結し、当該ロイヤルティ収入(EU域外企業の場合はEU域内でのロイヤルティ収入)が7,500万ユーロ超、かつ全世界の純売上高(EU域外企業の場合はEU域内の純売上高)が2億7,500万ユーロ超の企業、又はグループの最終親会社。
- 上記の基準は、2会計年度連続で満たす必要がある(第2条参照)。
■ 主な事業者要件: 自社のガバナンスへのデューディリジェンスの統合、悪影響の特定・防止・是正、苦情処理メカニズムの構築、情報の公開など多岐にわたる。
■ 施行時期: 加盟国は2028年7月26日までに本指令を遵守するために必要な法令等を採択・公表し、これらの措置を2029年7月26日から適用しなければならない。ただし、年次報告に関する規定(第16条)を遵守するための措置は、2030年1月1日以降に開始する会計年度から適用される(第37条参照)。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
■ オルタナティブ投資ファンド(AIF)及び譲渡可能証券の集団投資事業(UCITS)(第2条第8項参照)。
■ グループ等の経営・業務・財務上の意思決定に関与しない持株会社(最終親会社)(一定の条件の下で、EU域内子会社が義務を代行する場合) (第2条第3項)。
■ 適用基準を2会計年度連続で満たさなくなった企業(第2条第5項参照)。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
事業者は、加盟国が本指令に基づき制定する国内法に従い、以下の要件を遵守する必要がある。
■ デューディリジェンスの統合: デューディリジェンスを関連する方針及びリスク管理システムに統合し、デューディリジェンス方針を策定しなければならない。この方針は、少なくとも24ヶ月ごとに見直し、必要に応じて更新しなければならない(第7条参照)。
■ 悪影響の特定と評価: 自社、子会社、及びビジネスパートナー(活動チェーンに関連する場合)の事業活動に起因する、実際の及び潜在的な人権及び環境への悪影響を特定し、評価するために適切な措置を講じなければならない(第8条参照)。
■ 優先順位付け: すべての悪影響に同時かつ完全に対処することができない場合は、深刻度と発生可能性に基づいて優先順位を決定することが認められる(第9条参照)。
■ 潜在的な悪影響の防止: 特定された、又は特定されるべきであった潜在的な悪影響を防止し、又は防止することができない場合、若しくは直ちに防止することができない場合は、軽減するための適切な措置を講じなければならない。これには、防止行動計画の策定・実施、ビジネスパートナーからの契約上の保証の取り付け、必要な投資、事業計画の修正等が含まれる(第10条参照)。
■ 実際の悪影響の終了: 特定された、又は特定されるべきであった実際の悪影響を終了させするための適切な措置を講じなければならない。また、直ちに終了させることができない場合は、その影響の程度を最小化させなければならない。これには、是正行動計画の策定・実施、ビジネスパートナーからの契約上の保証の取り付け、必要な投資、事業計画の修正等が含まれる(第11条参照)。
■ 是正措置の提供: 自社が引き起こした、又は共同で引き起こした実際の悪影響について、是正措置を提供しなければならない。是正措置には、金銭的・非金銭的補償も含まれる(第12条参照) 。
■ 利害関係者との関与: 関係する利害関係者(従業員、影響を受ける個人・コミュニティ等)との効果的な関与を行うための適切な措置を講じなければならない(第13条参照)。
■ 苦情処理・通知: 悪影響に関する正当な懸念を有する特定の者が苦情を提出できるようにし、当該苦情を取り扱うための公平で、公表され、利用しやすく、予見可能かつ透明性のある手続を設けなければならない。また、悪影響に関する情報又は懸念を有する者が通知を提出できる仕組みを構築しなければならない(第14条参照)。
■ 監視と定期評価: デューディリジェンスの実施状況や有効性を監視するため、少なくとも5年ごとに定期的な評価を実施しなければならない(第15条参照)。
■ 情報の公開: デューディリジェンスに関する年次報告書を自社ウェブサイトで公開しなければならない。ただし、この報告義務は、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)に基づくサステナビリティ報告義務の対象となる企業には、適用されない(第16条参照)。
■ 制裁金: 義務違反に対しては、全世界純売上高の3%を上限とする制裁金が科される可能性がある(第27条参照)。
■ 民事責任: 本指令に基づくデューディリジェンス義務違反により国内法上の責任を負う場合は、被害者は完全な補償を受ける権利を有する(第29条参照)。
■ 国内法化による影響:本指令によりEUレベルで一定の制度調和が図られているものの、一部の規定については加盟国がより厳しい基準を国内法で定めることが認められているため、進出国の具体的な国内法を確認する必要がある(第4条参照)。
■ 公共調達への影響:本指令に基づく国内法の遵守状況は、公共調達やコンセッション契約の落札基準等として考慮される可能性がある。そのため、不遵守の場合、将来的なビジネス機会の損失につながる可能性がある(第31条参照)。
注目定義
<対象>
■ 「活動チェーン」(chain of activities)
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「活動チェーン」とは、以下をいう。 (i) 企業の上流のビジネスパートナーの活動であって、当該企業による物品の生産又はサービスの提供に関連するもの。これには、原材料、製品又は製品の部品の設計、採取、調達、製造、輸送、保管及び供給並びに製品又はサービスの開発が含まれる。 (ii) 企業の下流のビジネスパートナーの活動であって、当該企業の製品の流通、輸送及び保管に関連するもの(当該ビジネスパートナーが当該企業のために又は当該企業に代わって当該活動を行う場合)。また、規則(EU)2021/821に基づく輸出規制の対象製品又は武器、弾薬若しくは軍需品に関する輸出規制の対象製品については、輸出許可後の流通、輸送及び保管は除外される。 |
目次
第1条 対象事項
第2条 適用範囲
第3条 定義
第4条 調和のレベル
第5条 デューディリジェンス
第6条 グループレベルでのデューディリジェンス支援
第7条 企業方針及びリスク管理システムへのデューディリジェンスの統合
第8条 実際の及び潜在的な悪影響の特定及び評価
第9条 特定された実際の及び潜在的な悪影響の優先順位付け
第10条 潜在的な悪影響の防止
第11条 実際の悪影響の終了
第12条 実際の悪影響の是正
第13条 利害関係者との有意義な関与
第14条 通知メカニズム及び苦情処理手続
第15条 監視
第16条 情報公開
第17条 欧州シングルアクセスポイント(ESAP)における情報のアクセシビリティ
第18条 標準契約条項
第19条 ガイドライン
第20条 補完的措置
第21条 シングルヘルプデスク
第22条(欠番)
第23条 授権代理人
第24条 監督当局
第25条 監督当局の権限
第26条 裏付けのある懸念
第27条 罰則
第28条 監督当局の欧州ネットワーク
第29条 企業の民事責任及び完全な補償を受ける権利
第30条 違反の報告及び報告者の保護
第31条 公的支援、公共調達及びコンセッション
第32条 指令(EU) 2019/1937の改正
第33条 規則(EU) 2023/2859の改正
第34条 委任権限の行使
第35条 委員会手続
第36条 見直し及び報告
第37条 国内法化
第38条 発効
第39条 名宛人
附属書 国際人権文書に含まれる権利及び禁止事項、人権及び基本的自由に関する文書
基礎情報
| 法令(現地語) |
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| 法令(日本語) | 企業サステナビリティ・デューディリジェンスに関する2024年6月13日付欧州議会及び理事会指令(EU)2024/1760(指令(EU)2019/1937及び規則(EU)2023/2859を改正)(CSDDD) |
| 公布日 | 2024年07月05日 |
| 所管当局 | ― |
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