解説EU-製造物責任指令(新PL指令)

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法令の情報時期:2024年11月 統合版 ページ作成時期:2026年06月

目的

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本指令は、欠陥製品によって自然人が被った損害に対する経済事業者の責任、および当該損害の賠償に関する共通の規程を定めるものである。主な目的は以下の通り。

■ 消費者およびその他の自然人に対する高水準の保護を確保すること。

■ 欧州域内市場の適切な機能を促進すること。

概要

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本指令は、従来の理事会指令85/374/EECを廃止し、デジタル化や循環経済といった現代の市場環境に対応するために策定された。

■ 適用時期:2026年12月08日以降に上市または供用開始された製品に適用される。

■ 適用対象:本指令の対象である「製品」とは、すべての動産を指す。統合・連結された動産(他の動産の中に組み込まれている部品や、他の動産と連結して使用される物品)や、不動産への統合(建物などの不動産の中に組み込まれたり、不動産と連結されたりしている動産)であっても、本指令の「製品」に含まれる。さらに、現代の技術環境に対応するため、以下のものも「製品」として明示的に定義に含まれる。

  • ソフトウェア:オペレーティングシステムやアプリなど。
  • デジタル製造ファイル:3Dプリンター用の設計データなど、機械を自動制御して物品を製造するために必要な機能情報を持つデジタルテンプレート。
  • 原材料:製品の製造に使用される素材。
  • 電気

■ 責任主体の拡大:製造者、輸入者だけでなく、認定代理人やフルフィルメントサービス提供者、さらには条件付きで販売業者やオンラインプラットフォーム提供者も責任を負う可能性がある。

■ 期待される効果:欠陥製品による損害に対する法的枠組みを明確化し、被害者の保護と企業の予見可能性を高める。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

法令全体の適用から除外される対象は以下の通りである。

■ 商業活動の範囲外で開発または提供されるフリーおよびオープンソース・ソフトウェア。

■ 加盟国が批准した国際条約によって責任がカバーされている限りにおいて、核事故に起因する損害。

■ 2026年12月08日より前に上市または供用開始された製品(旧指令が引き続き適用される)。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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製造者が注意すべき内容

製造者には、自ら製品を開発・製造する者だけでなく、自らの名称や商標を付して製造者として表示する者、および自ら使用するために製造する者も含まれる(第4条第10項)。

■ 欠陥製品に対する直接的責任 :製造者は、自らの製品の欠陥によって生じた損害に対して賠償責任を負う(第8条第1項(a))。

■ 管理下のコンポーネントおよびアップデートへの責任:自らの管理下で製品に統合・連結された欠陥コンポーネント(ソフトウェアを含む)によって生じた損害についても責任を負う(第8条第1項)。特に、製品の安全性を維持するために必要なソフトウェアのアップデートを提供しなかったことに起因する欠陥については、免責が認められない(第11条第2項)。

■ 実質的な改造による製造者責任:製造者の管理外で製品を実質的に改造し、その後に市場に提供した者は、本指令上の「製造者」とみなされ、責任を負うことになる(第8条第2項)。

■ 証拠の開示および挙証責任への対応:裁判において請求者が主張の妥当性を示す事実を提示した場合、製造者は保有する関連証拠を開示するよう命じられる可能性がある(第9条第1項)。これに応じない場合、製品の欠陥が推定されるリスクがある(第10条第2項(a))。

■ 免責事由の証明 :責任を免れるためには、製品を市場に投入していないこと、投入時の科学技術水準では欠陥を発見できなかったこと(開発リスク免責)などを自ら証明する必要がある(第11条第1項)。

■ ソフトウェアコンポーネント製造者に対する求償権の制限:製品にソフトウェアを統合した製造者は、当該ソフトウェアの製造者が中小企業(SME)であり、かつ求償権を放棄する契約を締結していた場合、そのソフトウェア製造者に対して求償権を行使できない(第12条第2項)。

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認定代理人が注意すべき内容

認定代理人とは、EU域外の製造者から書面による委託を受け、特定の任務を代行する者を指す(第4条第11号)。

■ EU域外製造者の代替責任:製造者がEU域外に所在する場合、認定代理人は当該製造者と並んで賠償責任を負う対象となる(第8条第1項(c)(ii))。

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輸入者が注意すべき内容

輸入者とはEU域外の製品をEU市場にはじめて投入する者を指す(第4条第12号)。

■ 輸入製品に対する直接的責任:製造者がEU域外に所在する場合、輸入者は製造者と並んで当該欠陥製品またはコンポーネントについて直接の賠償責任を負う(第8条第1項(c)(i))。

■ 免責の要件:輸入者は、自らが製品を市場に投入していないことなどを証明することで免責を得られるが、その基準は製造者と同様に厳格である(第11条第1項)。

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販売業者が注意すべき内容

製造者や輸入者以外で、サプライチェーンにおいて製品を市場に提供する者を指す(第4条第14号)。

■ 責任主体の特定義務:EU域内に所在する製造者、輸入者、または認定代理人を特定できない場合、販売業者が賠償責任を負う可能性がある(第8条第3項)。被害者から責任主体の特定を求められ、1か月以内に「EU域内の責任事業者」または「自らに製品を供給した者」を特定して回答しなかった場合、販売業者自身が責任を負うことになる(第8条第3項(b))。

■ 免責事由 自らが製品を市場に提供していないことを証明した場合などは、責任を負わない(第11条第1項(b))。

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政府への要件を通じた将来的な影響

EU加盟国に対する義務付けを通して、将来的に事業者の実務に影響を及ぼす事項は以下の通りである。

■ 国内法化による施行(2026年12月):加盟国は2026年12月09日までに本指令を国内法として施行しなければならない(第22条第1項)。事業者は、自らが活動する各加盟国での具体的な法制化の内容を注視する必要がある。

■ 開発リスク免責の排除の可能性:加盟国は、特定の製品カテゴリーについて、科学技術水準で発見できなかった欠陥についても責任を負わせる(開発リスク免責を適用しない)措置を維持または導入することが認められている(第18条)。これにより、特定の製品を扱う事業者は、国によって異なるリスクを抱える可能性がある。

■ 判決のデータベース化による可視化:加盟国は、本指令に基づく確定判決を電子形式で公開する義務を負い、欧州委員会はこれをデータベース化して一般に公開する(第19条)。これにより、事業者の訴訟履歴や過去の欠陥事案が容易に検索可能となり、レピュテーションリスクが高まることが予想される。

注目定義

■ 「製品」(Product)

すべての動産を指し、他の動産や不動産に統合または連結されている場合も含まれる。従来の物理的な物品に加え、ソフトウェア、電気、デジタル製造ファイル、原材料が明示的に含まれている。

■ 「デジタル製造ファイル」(Digital manufacturing file)

機械や工具の自動制御を可能にすることで、有形物の製造に必要な機能情報を保持するデジタルのテンプレート等を指す。

■ 「関連サービス」(Related service)

製品に統合または連結されているデジタルサービスであり、そのサービスが欠如すると製品が機能を果たせなくなるもの。

■ 「フルフィルメントサービス・プロバイダー」(Fulfilment service provider)

製品の所有権を持たずに、倉庫保管、梱包、宛名書き、発送のうち少なくとも2つのサービスを商業活動として提供する者。

■ 「製造者の管理」(Manufacturer's control)

製造者がソフトウェアのアップデート(更新)やアップグレードを提供する能力を保持していること、あるいは第三者によるコンポーネントの統合や製品の修正に対して同意・許可を与えている状態。

■ 「欠陥」(Defectiveness)

製品が、人が期待する権利のある安全性、または法令で要求される安全性を備えていない状態。評価にあたっては、製品の提示方法、合理的に予見可能な使用、および市場投入後の学習能力やアップデートの影響などが考慮される。

■ 「実質的な改造」(Substantial modification)

上市後に行われる製品の変更であり、本来の性能や目的を変更するもの、あるいは新たなハザード(危険性)を生じさせたり、リスクレベルを高めたりするものを指す。このような改造を行った者は、本指令上の「製造者」とみなされ、責任を負う。

目次

第1章:一般規定

 第1条:主題および目的

 第2条:適用範囲

 第3条:調和のレベル

 第4条:定義

第2章:欠陥製品の責任に関する個別規定

 第5条:賠償を受ける権利

 第6条:損害

 第7条:欠陥

 第8条:欠陥製品に対して責任を負う経済事業者

 第9条:証拠の開示

 第10条:挙証責任

 第11条:責任の免除

第3章:責任に関する一般規定

 第12条:複数の経済事業者の責任

 第13条:責任の軽減

 第14条:求償権

 第15条:責任の排除または制限

 第16条:時効期間

 第17条:除斥期間

第4章:最終規定

 第18条:開発リスク免責の適用除外

 第19条:透明性

 第20条:評価

 第21条:廃止および経過措置

 第22条:国内法化

 第23条:発効

 第24条:宛先

附属書:相関表(旧指令85/374/EECとの対応)

基礎情報

法令(現地語)

Directive (EU) 2024/2853 of the European Parliament and of the Council of 23 October 2024 on liability for defective products and repealing Council Directive 85/374/EEC (Text with EEA relevance)

法令(日本語)

欠陥製品に対する責任に関する2024年10月23日付欧州議会および理事会指令(EU)2024/2853(理事会指令85/374/EECを廃止)

公布日

2024年11月18日

作成者

株式会社先読

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