| 法令の情報時期:2008年12月 統合版 | ページ作成時期:2026年06月 |
目的
本指令は、EUにおける労働安全衛生の基礎となる「枠組み指令」であり、職場における労働者の安全および健康の改善を奨励する措置を導入する共通の原則を設定することを目的としている。
■ 職業上のリスクの防止、安全および健康の保護、リスクおよび事故要因の排除に関する一般原則を確立する。
■ 労働者およびその代表者への情報提供、協議、対等な参加、ならびに訓練に関する一般原則を定める。
■ 上記の原則を実施するための一般的なガイドラインを提供する。
概要
本指令は、EUにおける労働安全衛生の基礎となる「枠組み指令」であり、あらゆるリスクに対する基本的な法的枠組みを提示する。
■ 背景:労働者は職場環境において危険な要因にさらされるリスクがあるが、加盟国間の安全衛生基準に差異があることから、安全を犠牲にした競争を招く懸念があった。
■ 期待される効果:すべての加盟国に共通の基本的な安全衛生基準の最低要件を設定することで、労働災害や職業病の発生率を低下させ、高い水準の保護を確保するための予防措置を強化する。
■ 適用範囲:公的・民間を問わず、工業、農業、商業、行政、サービス、教育、文化、レジャー等のあらゆる活動セクターを対象とする。
■ 主な事業者要件:雇用主は、仕事に関連するすべての側面において労働者の安全衛生を確保する責任を負い、リスク評価や予防措置、訓練の提供を網羅的に実施しなければならない。
■ 施行時期:加盟国は、1992年12月31日までに本指令の遵守のために必要な国内法等を施行しなければならない。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
法令全体の適用から除外される主な対象や状況は以下の通りである。
■ 公共サービスの特定の活動:軍隊、警察、または市民保護サービスにおける活動のうち、その特有の性質が本指令と必然的に矛盾する場合。
■ 家事使用人:本指令における「労働者」の定義から除外されるため、実質的に適用対象外である。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
雇用主の一般的責任
■ 包括的な安全確保義務:職場におけるあらゆる側面で労働者の安全および健康を確保しなければならない。外部の専門サービスや専門家を起用した場合であっても、雇用主としての責任は免除されない(第5条第1項、第2項)。
■ 不可抗力による責任制限:雇用主の管理を超えた異常かつ予見不可能な状況、または例外的な事態による事象について、加盟国は雇用主の責任を制限または除外できる(第5条第4項)。
■ 一般予防原則の実施:リスクの回避、回避不能なリスクの評価、発生源におけるリスクへの対処、職場設計や設備の個人への適合、技術進歩への適応、危険物の代替、全体的な予防方針の策定、集団保護措置の優先、および適切な指示の提供という原則に基づき措置を講じる(第6条第1項、第2項)。
■ 費用負担の禁止:職場における安全、衛生、および健康に関連する措置においては、いかなる場合も労働者に金銭的な費用負担をさせてはならない(第6条第5項)。
リスク評価と具体的な措置
■ リスク評価の実施と保持:作業設備の選択、化学物質の使用、職場の整備において安全衛生へのリスク評価を実施し、その結果に基づく予防措置を企業のすべての階層に組み入れなければならない(第6条第3項(a)、第9条第1項(a))。
■ アクセスの制限:重大かつ特定の危険がある区域には、適切な指示を受けた労働者のみがアクセスできるように制限する(第6条第3項(d))。
■ 事故の記録と報告:3営業日を超える就業不能につながった労働災害のリストを保持し、当局に対して報告書を作成する(第9条第1項(c)、(d))。
■ 複数事業者間の協力:複数の事業者が同一の職場を共有する場合、安全衛生規定の実施において協力し、活動を調整するとともに、リスクに関する情報を互いに提供し合わなければならない(第6条第4項)。
組織体制と担当部門・機関
■ 保護・予防担当者の任命:リスク防止活動を行うため、1名以上の労働者を任命する。社内に適任者がいない場合は、外部の専門サービスや専門家を起用しなければならない(第7条第1項、第3項)。
■ 応急処置・避難体制の整備:活動の性質や規模に応じた応急処置、消防、避難措置を講じ、外部機関(救急医療、救助活動等)との連絡体制を整える(第8条第1項)。
重大かつ差し迫った危険への対応
■ 労働者への情報提供と指示:重大かつ差し迫った危険にさらされる労働者に対し、リスクの内容と保護措置について速やかに通知し、作業を停止して直ちに退避できるよう必要な措置を講じる(第8条第3項(a)、(b))。
■ 適切な事後対応:危険が継続している間は、例外的な場合を除き、労働者に作業の再開を求めてはならない。また、上司に連絡が取れない緊急時に労働者が自らの知識や技術的手段を用いて危険回避措置をとった場合、不利益な扱いをしてはならない(第8条第3項(c)、第8条第5項)。
情報の伝達・協議・訓練
■ 情報提供義務:労働者およびその代表者に対し、職場のリスクや保護・予防措置に関する必要な情報を提供する(第10条第1項)。
■ 労働者との協議と関与:安全衛生に関するあらゆる事項について労働者と協議し、提案を行う権利を認め、国内法や慣行に従った対等な関与を可能にする(第11条第1項)。
■ 十分な訓練の実施:採用時、職務変更時、新しい設備や技術の導入時に、各労働者の職務に特化した安全衛生訓練を提供する。訓練は労働時間内に行い、労働者に費用を負担させてはならない(第12条第1項、第4項)。
将来的に事業者に影響を及ぼすと思われる内容
■ 個別指令による具体的要件の追加:本指令は枠組みであり、職場、作業設備、個人保護具、重量物の取り扱い、ディスプレイ画面作業などの特定分野について、今後詳細な要件を定める個別指令が採択・修正される(第16条)。
■ 技術的進歩に伴う要件の調整:技術革新や国際規制の変化を反映するため、欧州委員会の委員会手続を通じて個別指令の内容が調整され、事業者の技術的対応が更新される可能性がある(第17条)。
■ 実施報告に基づく規制の見直し:加盟国は5年ごとに本指令の実施状況に関する報告書を提出する義務があり、その評価結果に基づいて規制枠組みの運用改善のための新たな取り組みが行われる可能性がある(第17a条)。
注目定義
■ 「労働者」(worker)
| 雇用主によって雇用されている者。研修生や見習いを含むが、家事使用人は除く。 |
■ 「労働者の安全と健康に関する特定の責任を負う労働者代表」( workers' representative with specific responsibility for the safety and health of workers)
| 職場における労働者の安全と健康の保護に関連する問題が発生した場合に労働者を代表する者として、国内法および/または慣行に従って選出、選任、または指定された者。 |
目次
第1節:一般規定
第1条:目的
第2条:適用範囲
第3条:定義
第4条:加盟国による実施措置
第2節:雇用主の義務
第5条:一般規定
第6条:雇用主の一般的義務
第7条:保護および予防担当組織
第8条:応急処置、消防および労働者の避難、重大かつ差し迫った危険
第9条:雇用主のその他の義務
第10条:労働者への情報提供
第11条:労働者の協議および参加
第12条:労働者の訓練
第3節:労働者の義務
第13条:労働者の責務
第4節:雑則
第14条:健康監視
第15条:リスクグループ
第16条:個別指令 - 修正 - 本指令の一般的範囲
第17条:委員会手続
第17a条:実施報告書
第18条:最終規定
第19条:宛先
附属書
第16条第1項に言及される分野のリスト(職場、作業設備、個人保護具等)
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 職場における労働者の安全および健康の改善促進措置導入に関する1989年6月12日付理事会指令(89/391/EEC) |
| 公布日 | 1989年6月29日 |
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