解説EU-個人保護具規則(PPE規則)

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法令の情報時期:2026年5月 統合版 ページ作成時期:2026年06月

目的

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本規則は、市場に出される個人保護具(PPE)の設計および製造に関する要件を定め、以下の事項を達成することを目的としている。

■ ユーザー(着用者)の健康および安全の保護を確保するための高いレベルの要件を確立する。

■ EU域内におけるPPEの自由な移動に関する共通のルールを確立し、市場の透明性を高める。

概要

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本規則は、旧指令(89/686/EEC)に代わるものとして、EU市場で流通するすべての個人保護具に対して直接適用される法的枠組みである。

■ 背景・問題意識:労働現場や日常生活において使用される保護具の安全性を担保し、加盟国間での規制の不一致を解消することで、労働者や消費者の安全をより確実にする必要がある。

■ 適用範囲:単独または複数の健康・安全上のリスクから保護するために、個人が着用または保持するように設計・製造された「個人保護具(PPE)」に適用される。これには、交換可能なコンポーネントや接続システムも含まれる。

■ 主な事業者要件:製造者、認定代理人、輸入者、販売者向けにそれぞれ要件が指定されている。主なものはリスクカテゴリーの特定(附属書Ⅰに詳細規定)、必須健康安全要件(附属書IIに詳細規定)への適合確保、技術文書の作成、適合性評価の実施、CEマーキングの貼付、およびEU適合宣言書の作成である。

■ 施行時期:本規則は2018年4月21日から全面的に適用されている。ただし、適合性評価機関の通知に関する条項などは2016年から先行して適用された。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

以下のPPEは、本規則の適用対象外である。

■ 軍隊または秩序維持(警察等)での使用のために特別に設計されたもの。

■ 自衛目的で設計されたもの(スポーツ活動用を除く)。

■ 極端ではない気象条件、または食器洗いの際の湿気や水から保護するための、私的使用目的のもの。

■ 加盟国に適用される国際条約の対象となる海路用船舶または航空機でのみ使用されるもの。

■ オートバイ・原動機付自転車の運転者・同乗者用のヘルメットおよびバイザー。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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製造者の義務

■ 適合性の確保:PPEを市場に投入する際、附属書IIに定める必須健康安全要件に従って設計・製造されていることを確実にし、技術文書の作成と適合性評価手順を実施しなければならない(第8条第1項、第2項)。

■ 識別と表示:製品に型式やシリアル番号等の識別要素を表示し、自身の氏名および単一の連絡先住所を表示しなければならない。また、適合証明としてCEマーキングを適切に貼付する必要がある(第8条第2項、第5項、第6項)。

■ 説明書等の提供:エンドユーザーが容易に理解できる言語で、附属書II 1.4項に定める説明書および安全情報、ならびにEU適合宣言書(またはその入手先URL)を提供しなければならない(第8条第7項、第8項)。

■ リスク管理と是正措置:不適合が疑われる場合は直ちに是正措置(修正、撤回、回収)を講じ、リスクがある場合は当局に通知しなければならない。必要に応じてサンプル検査を実施し、苦情記録を保持する(第8条第4項、第9項)。

■ 当局への協力と記録保持:技術文書およびEU適合宣言書を市場投入から10年間保管しなければならない。当局の要請に応じて適合証明に必要な情報を提供し、リスク排除のために協力する義務がある(第8条第3項、第10項)。

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認定代理人の選任と性質

■ 製造者は、書面による委任状をもって認定代理人を任命することができる。認定代理人は、EU域内に設立された自然人または法人である必要がある。

委任できない業務

製造者の義務のうち、以下の根幹に関わる業務を認定代理人に委任することはできない。

■ 製品を必須健康安全要件に従って設計・製造する義務(第8条第1項)。

■ 技術文書を作成する義務(第8条第2項)。

認定代理人の義務

■ 文書の保持と提示: 製品が市場に出されてから10年間、EU適合宣言書および技術文書を市場監視当局の求めに応じられる状態で保持すること(第9条第2項a)。

■ 当局への情報提供: 国内当局からの正当な要求に基づき、製品の適合性を証明するために必要なすべての情報および文書を提供すること(第9条第2項b)。

■ リスク排除への協力: 自身の委任範囲に含まれるPPEが引き起こすリスクを排除するための措置について、当局の要請に応じて協力すること(第9条第2項c)。

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輸入者の義務

■ 適合性の確認:適合したPPEのみを市場に投入しなければならない。投入前に、製造者が適切な評価を実施し、技術文書を作成し、CEマーキングが正しく貼付されていることを確認する義務がある(第10条第1項、第2項)。

■ 識別と表示:輸入者自身の氏名、登録商号、および連絡先住所を製品上に表示しなければならない。また、製造者の識別表示や連絡先が適切に記載されていることを確認する必要がある(第10条第2項、第3項)。

■ 説明書等の確認:製品に必要な書類が揃っており、附属書II 1.4項に定める説明書と安全情報が、該当する加盟国の言語で添付されていることを確認しなければならない(第10条第2項、第4項)。

■ リスク管理と是正措置:不適合品は適合するまで市場投入を停止し、リスクを伴う場合は製造者および当局へ通知しなければならない。保管・輸送が適合性を損なわないよう管理し、必要に応じサンプル検査を行う(第10条第2項、第5項、第7項)。

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販売者の義務

■ 適合性の確認:PPEを市場に提供する前に、CEマーキングの有無および必要な書類が添付されているかを、規則の要件に照らして適切な注意を払って確認しなければならない(第11条第1項、第2項)。

■ 識別と表示:製造者および輸入者の氏名・連絡先、製品の識別番号が正しく表示されていることを確認しなければならない。これらが欠けている場合は、適合するまで製品を提供してはならない(第11条第2項)。

■ 説明書等の確認:附属書II 1.4項に定める説明書と安全情報が、提供先の加盟国でエンドユーザーが容易に理解できる言語で添付されていることを確認しなければならない(第11条第2項)。

■ リスク管理と是正措置:不適合やリスクがある場合は市場提供を停止し、製造者・輸入者および当局へ通知しなければならない。保管・輸送が適合性を損なわないことを確実にし、不適合品の是正措置が講じられるよう努める(第11条第2項、第3項、第4項)。

■ 当局への協力と記録保持:当局の要請に対し、適合性を証明する情報を提供し、リスク排除のために協力しなければならない。また、供給元と供給先を特定できる情報を10年間提示可能にする必要がある(第11条第5項、第13条)。

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輸入者や販売者が製造者とみなされるケース(第12条)

以下のいずれかに該当する場合、輸入者と販売者は本規則上「製造者」とみなされ、第8条に定める製造者としてのすべての義務を負うことになる。

■ 自身の名称または商標を用いてPPEを市場に投入する場合。

■ すでに市場に出されたPPEに対して、本規則への適合性に影響を及ぼすような修正を加える場合。

このように、輸入者・販売者は単なる流通業者ではなく、製造者が適切に義務を果たしているかを「検品・監督」し、自身の身元を明らかにして10年間の法的責任を負う立場である。

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各国政府への要件を通じて将来的に事業者へ影響を及ぼすと思われる内容

■ 緊急事態時の特例対応:内部市場緊急モードにおいて「危機関連物品」に指定されたPPEは、適合性評価が優先的に処理されるほか(第41b条)、当局の認可により通常の評価手順を完了していない製品の市場投入が認められる場合がある(第41c条)。

■ 共通仕様の導入:適切な整合規格がない場合、欧州委員会は共通仕様を策定できる。事業者はこれに従うことで適合性を推定できるが、新たな技術基準への対応が必要になる(第41d条)。

■ リスクカテゴリーの再分類:科学的根拠に基づき、欧州委員会は特定のリスクのカテゴリーを変更(例:カテゴリーIIからIIIへ格上げ)する権限を持っており、その場合、より厳格な適合性評価が求められることになる(第42条)。

注目定義

■ 「個人保護具(PPE)」

■ 機器本体:個人の健康や安全に対する1つ以上のリスクから保護するために、その個人が着用または保持するように設計・製造された機器。
■ 交換可能なコンポーネント:上記の機器本体に使用される交換可能な部品であり、その機器の保護機能にとって不可欠なもの。
■ 接続システム:個人が着用・保持するものではないが、機器本体を外部デバイスや信頼できるアンカーポイントに接続するために設計されたシステム。ただし、恒久的に固定されるものではなく、使用前の固定作業(工事等)を必要としないものに限る。

目次

第1章:一般規定

第1条:対象事項

第2条:範囲

第3条:定義

第4条:市場への提供

第5条:必須健康安全要件

第6条:PPEの使用に関する規定

第7条:自由な移動

第2章:経済事業者の義務

第8条:製造者の義務

第9条:認定代理人

第10条:輸入者の義務

第11条:販売者の義務

第12条:輸入者および販売者に製造者の義務が適用されるケース

第13条:経済事業者の特定

第3章:PPEの適合性

第14条:PPEの適合性の推定

第15条:EU適合宣言書

第16条:CEマーキングの一般原則

第17条:CEマーキング貼付の規則および条件

第4章:適合性評価

第18条:PPEのリスクカテゴリー

第19条:適合性評価手順

第5章:適合性評価機関の認定

第20条:認定

第21条:認定当局

第22条:認定当局に関する要件

第23条:適合性審査機関と認定当局に関する情報義務

第24条:認定機関に関する要件

第25条:認定機関の適合性の推定

第26条:認定機関の子会社および下請け

第27条:認定の申請

第28条:認定手順

第29条:識別番号および認定機関のリスト

第30条:認定の変更

第31条:認定機関の能力に対する異議申し立て

第32条:認定機関の運営上の義務

第33条:認定機関の決定に対する不服申し立て

第34条:認定機関に関する情報義務

第35条:経験の交換

第36条:認定機関間の調整

第6章:EU市場監視、EU市場に流入するPPEの管理およびEUセーフガード手続

第37条:EU市場監視およびEU市場に流入するPPEの管理

第38条:リスクを伴うPPEを取り扱うための国内レベルの手順

第39条:EUセーフガード手続

第40条:適合しているがリスクを伴うPPE

第41条:形式的な不適合

第6a章:緊急手続

第41a条:緊急手続の適用

第41b条:危機関連物品に指定されたPPEの適合性評価の優先順位付け

第41c条:認定機関の強制的関与を必要とする適合性評価手順からの逸脱

第41d条:規格および共通仕様に基づく適合性の推定

第41e条:市場監視活動の優先順位付けおよび当局間の相互扶助

第7章:委任権限および実施に関する規定

第42条:委任された権限

第43条:委任権限の行使

第44条:委員会手続き

第8章:経過規定および最終規定

第45条:罰則

第46条:廃止

第47条:経過措置

第48条:発効および適用

附属書I:PPEのリスクカテゴリー

附属書II:必須健康安全要件

  1. 全PPEに適用される一般要件
  2. いくつかのタイプのPPEに共通する追加要件
  3. 特定のリスクに対応する追加要件

附属書III:PPEの技術文書

附属書IV:内部生産管理(モジュールA)

附属書V:EU型式試験(モジュールB)

附属書VI:内部生産管理に基づく型式への適合(モジュールC)

附属書VII:内部生産管理およびランダム間隔での監督付き製品検査に基づく型式への適合(モジュールC2)

附属書VIII:生産プロセスの品質保証に基づく型式への適合(モジュールD)

附属書IX:EU適合宣言書

附属書X:相関表

基礎情報

法令(現地語)

Regulation (EU) 2016/425 of the European Parliament and of the Council of 9 March 2016 on personal protective equipment and repealing Council Directive 89/686/EEC (Text with EEA relevance)

法令(日本語)

個人保護具に関する2016年3月9日付欧州議会および理事会規則2016/425(理事会指令89/686/EECを廃止)

公布日

2016年3月31日

作成者

株式会社先読

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