解説EU-妊婦労働者指令

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法令の情報時期:2019年07月 統合版 ページ作成時期:2026年06月

目的

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本指令は、職場における労働安全衛生の改善を目的とした枠組み指令(89/391/EEC)に基づき、特定の労働者グループを保護することを目的としている。

■ 妊婦、産後間もない労働者、または授乳中の労働者の職場における安全および健康の改善を奨励するための措置を導入する。

■ これらの労働者の状態に特有のリスク(化学的、物理的、生物学的要因等)から保護するための最低要件を確立する。

■ 保護レベルの維持を確実にし、既存の保護水準を低下させないようにする。

概要

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本指令は、労働安全衛生枠組み指令(89/391/EEC)の第16条第1項に基づく「第10個別指令」である。

■ 背景と問題意識:妊娠中や産後、授乳中の労働者は特定の作業環境において脆弱な立場にあり、胎児への影響や母体の健康リスクを最小限に抑えるための欧州共通の基準が必要とされた。

■ 対象となる労働者:以下の3つのカテゴリーに該当し、かつ国内法や慣行に従って雇用主にその状態にあることを通知した労働者が対象となる。  (a) 妊婦  (b) 産後間もない労働者(出産後の一定期間にある者)  (c) 授乳中の労働者

■ 主な事業者要件:職場におけるばく露リスクの評価、評価に基づく保護措置(作業内容や時間の変更、配置転換等)、夜間労働の制限、産前産後休暇の付与、および解雇の禁止が求められる。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

適用除外

法令全体の適用から除外される主な状況は以下の通り。

■ 公共サービスの特定の活動:枠組み指令(89/391/EEC)第2条第2項に規定される、軍隊、警察、または特定の市民保護サービスにおける活動のうち、その特有の性質が本指令の適用と必然的に矛盾する場合。

■ 通知しない労働者:妊娠、産後、または授乳の事実を、国内法や慣行に従って雇用主に通知していない労働者に対しては、本指令に基づく個別の保護義務は適用されない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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雇用主(事業者)が遵守すべき要件を、条項および附属書の内容に基づき整理する。

リスク評価と情報の伝達

■ ばく露リスクの評価: 附属書Iに例示的にリストアップされた物理的要因(振動、衝撃、極端な寒冷・高温等)、生物学的要因、化学的要因(CMR物質、鉛、一酸化炭素等)、および作業条件へのばく露リスクがあるすべての活動において、ばく露の性質、程度、期間を評価しなければならない(第4条第1項、附属書I)。

■ 労働者への通知: 雇用主は、評価の結果および職場で講じるべきすべての安全衛生上の措置について、対象労働者またはその代表者に通知しなければならない(第4条第2項)。

評価結果に基づく具体的な措置

■ 作業条件・時間の調整: 評価によりリスクが判明した場合、雇用主は作業条件や労働時間を一時的に調整し、当該労働者のリスクへのばく露を回避しなければならない(第5条第1項)。

■ 配置転換: 作業条件の調整が技術的・客観的に不可能、または合理的に要求できない場合、雇用主は当該労働者を別の職務に移動させるための措置を講じなければならない(第5条第2項)。

■ 休暇の付与: 配置転換も不可能な場合は、労働者の安全・健康を保護するために必要な全期間、国内法に従った休暇を付与しなければならない(第5条第3項)。

■ 特定のばく露の禁止: 妊婦および授乳中の労働者を、附属書IIに規定される特定の要因(妊婦における鉛やトキソプラズマ、授乳中における鉛等)にばく露されるリスクのある作業に従事、またはそのような条件下(坑内採鉱作業等)で作業させてはならない(第6条、附属書II)。

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夜間労働および休暇に関する義務

■ 夜間労働の制限: 医師の診断書により認められた場合、対象労働者を夜間労働に従事させてはならない。この場合、昼間労働への転換、またはそれが不可能な場合は休暇の付与(産前産後休暇の延長を含む)が必要である(第7条)。

■ 産前産後休暇の保証: 少なくとも連続14週間の産前産後休暇を付与しなければならない。そのうち少なくとも2週間は、出産前および/または出産後の強制休暇として割り当てられる必要がある(第8条)。

■ 産前検査のための時間: 妊婦が勤務時間中に産前検査を受ける必要がある場合、国内法に従い、賃金を削減することなく検査のための外出を認めなければならない(第9条)。

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雇用の保護と権利

■ 解雇の禁止: 加盟国は、妊娠の開始から産前産後休暇の終了まで、当該労働者の状態に関係のない例外的な場合(国内法で認められ、当局が同意した場合等)を除き、解雇を禁止しなければならない(第10条第1項)。

■ 解雇理由の書面提示: この期間中に解雇を行う場合、雇用主は解雇の正当な理由を詳細に記した書面を提示しなければならない(第10条第2項)。

■ 雇用の権利と賃金の維持: 作業調整、配置転換、休暇のいずれの場合であっても、雇用契約に基づく権利を維持し、適切な手当や賃金の支払いを保証しなければならない(第11条)。

将来的に事業者へ影響を及ぼすと思われる内容

■ 附属書Iの技術的修正: 欧州委員会は、技術的進歩や国際的な規制の変化、新しい科学的知見に基づき、リスク評価の対象となる附属書Iのリストを修正する権限を有している。これにより、事業者が評価すべきリスクの範囲が将来的に変更・拡大される可能性がある(第13条)。

注目定義

■ 「妊娠中の労働者」(pregnant worker)

妊娠中の労働者であって、国内法および/または国内慣行に従って、雇用主に自身の妊娠状態を通知する者。

■ 「産後の労働者」(worker who has recently given birth)

国内法および/または国内慣行の意味において最近出産した労働者であって、当該法および/または慣行に従って雇用主にその状態を通知する者。

■ 「授乳中の労働者」(worker who is breastfeeding)

国内法および/または国内慣行の意味において授乳中の労働者であり、かつ、当該法および/または慣行に従って雇用主にその状態を通知する者。

目次

第1節 目的および定義

第1条 目的

第2条 定義

第2節 一般規定

第3条 ガイドライン

第4条 評価および情報提供

第5条 評価結果に基づく措置

第6条 ばく露が禁止されるケース

第7条 夜間労働

第8条 産前産後休暇

第9条 産前検査のための外出

第10条 解雇の禁止

第11条 雇用の権利

第12条 権利の保護

第13条 附属書Iの修正

第13a条 委任権限の行使

第13b条 緊急手続

第3節 最終規定

第14条 最終規定(国内法化等)

第15条 宛先

附属書

附属書I 第4条(1)に言及される要因、工程、作業条件の例示的リスト

附属書II 第6条に言及される要因および作業条件の例示的リスト

基礎情報

法令(現地語)

Council Directive 92/85/EEC of 19 October 1992 on the introduction of measures to encourage improvements in the safety and health at work of pregnant workers and workers who have recently given birth or are breastfeeding (tenth individual Directive within the meaning of Article 16 (1) of Directive 89/391/EEC)

法令(日本語)

職場における妊娠中の労働者および産後又は授乳中の労働者の安全および健康の改善促進措置導入に関する1992年10月19日付理事会指令92/85/EEC(指令89/391/EEC第16条(1)の意味における第10個別指令)

公布日

1992年11月28日

作成者

株式会社先読

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