| 法令の情報時期:2008年07月 公布版 | ページ作成時期:2026年06月 |
目的
本規則の目的は、EUが導入する数量割当を管理・分配するための、共通の手続きを確立することである。(第1条)
概要
本規則は、規則(EC) No 520/94およびその後の改正を法典化したもので、2008年8月15日から適用されている。
長年にわたり世界貿易機関(WTO)の加盟国が増加したことに伴い、本規則は現在、実際上は限られた数の国からの輸入にのみ適用されており、現在は、ベラルーシおよび北朝鮮からの繊維製品の輸入に適用されている。EU輸出に関する数量割当は存在しない。
EUの割当を管理するための一般原則として、以下のものが挙げられる。
・割当は申請者に対してできる限り速やかに配分されなければならない。
・割当は、特定の方法のうちの一つまたは複数を組み合わせて管理することができる(例:従来の貿易の流れに基づく方法、または先着順による方法)。
・割当の開始を告知する公示をEU官報に掲載しなければならない。
割当管理の各方式に関する具体的なルールが定められている。例えば、以下の各方式については次のとおりである。
・従来の貿易の流れに基づく方式では、割当の一部が従来の輸入業者・輸出業者のために優先的に確保される。
・先着順による方式では、欧州委員会が、割当が上限に達するまでの間に輸入業者・輸出業者が申請できる数量を決定する。
・申請数量に比例して割当を配分する方式では、欧州委員会が、各EU加盟国から受領した許可証申請件数に関する情報に基づいて割当数量を決定する。
先着順方式においては、関連産品の輸入または輸出を認可する輸入・輸出許可証を直ちに発行しなければならない。その他の方式においては、欧州委員会の関連決定の通知から10日以内、または欧州委員会が設定する期限内に発行される。
適用除外(対象外・猶予・免除等)
欧州共同体設立条約(旧EC条約。現在はEU機能条約に改められている)附属書Ⅰに記載される製品、ならびに割当管理に関する具体的な規定を定めた特定の共通輸入取決めの対象となる繊維製品およびその他の製品は、本規則の適用対象外となる。(前文第11項および第1条第2項)
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
申請は、申請者が選択した加盟国の管轄当局に対して、当該加盟国の公用語で作成して提出しなければならない。
割当が特定地域に限定されている場合は、当該地域の加盟国の管轄当局に申請しなければならない。
事業者は、各割当または分割分につき、申請を1件のみ提出できる。(詳しくは第4条参照)
割当の配分において従来の貿易の流れが考慮される場合、割当の一部は従来の輸入業者または輸出業者のために留保され、残余の部分はその他の輸入業者または輸出業者のために確保されなければならない。
輸入業者または輸出業者は、「基準期間」と称される過去の一定期間中に、当該割当の対象となる産品をEU域内に輸入し、またはEU域外に輸出したことを証明できる場合に、従来の輸入業者または輸出業者とみなされる。
従来の輸入業者・輸出業者として割当配分を受けるためには、許可証申請に以下を添付しなければならない。
・基準期間中の輸入・輸出申告書原本の認証謄本
・これと同等の証拠書類(第22条2項の手続に従い定められたもの)(詳しくは第7条参照)
先着順方式では、1回の申請で割当を受けられる数量は、欧州委員会があらかじめ決定した一定量に限られる。この上限はすべての事業者に対して同一である。
割当残量がなくなった時点で申請は受け付けられなくなる。申請のタイミングが遅れると割当を受けられない可能性があるため、申請時期に注意が必要である。
割当を受けた数量の全部、または委員会が定める一定割合以上を実際に輸入・輸出したことを証明できる場合に限り、追加の許可証申請が認められる。単に許可証を取得しただけでは追加申請はできない。(詳しくは第12条参照)
申請数量に比例した割当方式において、事業者は、申請を期限内に行わなければならない。
申請数量の合計が割当量以下であれば、申請どおり全量が認められる。
申請数量の合計が割当総量を超えた場合、各事業者への配分量は申請数量に比例して按分される。
許可証が発行されるのは、欧州委員会が各加盟国からの情報をもとに配分量を決定した後である。したがって事業者は、申請が集中した場合には希望数量を下回る配分になることを想定しておく必要がある。(詳しくは第13条参照)
再分配の数量割当において対象となるのは、当初の配分において割り当てられなかった数量、付与されなかった数量、または使用されなかった数量である。したがって、当初の申請で割当を得られなかった事業者や、追加の数量を必要とする事業者にとって、再配分は重要な機会となりうる。
再分配の数量割当において、当初の割当が先着順方式で行われた場合、再配分数量は残余量に即時に上乗せされるか、割当が尽きていれば割当を再構成するために使用される。この場合、事業者は通常の先着順申請の手続きに従えばよい。
当初の割当が先着順以外の方式で行われた場合、再配分は第22条第2項の手続に従って別途決定され、EU官報に追加公示が掲載される。そのため、再分配の数量割当を希望する事業者は、官報の確認を怠らないようにすることが重要である。(詳しくは第14条参照)
輸入・輸出許可証は、申請時に記載された輸出入地点にかかわらず、EU全域で使用することができる。許可証の有効期間は原則4か月である。
事業者は、許可証を発行した加盟国の管轄当局に対し、許可証の抄本の交付を申請することができる。(詳しくは第17条参照)
輸入・輸出許可証およびその抄本は、有償・無償を問わず、名義人以外の者に貸与または譲渡してはならない。(第18条)
輸入・輸出許可証またはその抄本は、不可抗力の場合を除き、有効期限の満了後10営業日以内に、発行した加盟国の管轄当局に返還しなければならない。
輸入・輸出許可証の発行に際して担保が設定されている場合、上記期限内に返還されないときは、不可抗力の場合を除き、当該担保は没収される。(第19条)
注目定義
<対象者>
■ 「従来の輸入業者または輸出業者」(traditional importers or exporters)
| 「従来の輸入業者または輸出業者」とは、基準期間中に当該割当対象産品をEU域内に輸入し、または域外に輸出したことを証明できる事業者をいう。 |
<対象製品>
■ 「数量割当」(quantitative quotas)
| 「数量割当」とは、特定の産品の輸入または輸出に対して設定される数量的上限をいう。 |
■ 「基準期間」(reference period)
| 「基準期間」とは、伝統的輸入業者・輸出業者の資格を判定するために参照される過去の一定期間をいう。 |
■ 「分割分」(tranche)
| 「分割分」とは、割当数量を一度に配分せず複数回に分けて配分する場合の、各回の配分単位をいう。 |
■ 「先着順」(first come, first served)
| 「先着順」とは、申請が受理された順番に従って割当数量を配分する方法をいう。 |
■ 「同時審査」(simultaneous examination)
| 「同時審査」とは、申請された数量に比例して割当を配分するため、すべての申請を同時に審査する手続をいう。 |
■ 「按分比例」(pro rata)
| 「按分比例」とは、申請数量または基準期間中の実績数量に占める各申請者の割合に応じて、割当量を配分することをいう。 |
■ 「輸入・輸出許可証」(import or export licence)
| 「輸入・輸出許可証」とは、数量割当の対象となる産品の輸入または輸出を行うために加盟国が発行する公式文書をいい、その呈示が通関の条件となるものをいう。 |
■ 「担保」(security)
| 「担保」とは、許可証の発行にあたり事業者に対して差し入れを求める保証金等をいい、許可証が適切に返還されない場合には没収されるものをいう。 |
■ 「不可抗力」(force majeure)
| 「不可抗力」とは、当事者の支配が及ばない例外的な事情をいい、許可証の期限内返還義務などの規則上の義務の免除事由となるものをいう。 |
■ 「抄本」(extract)
| 「抄本」とは、輸入・輸出許可証の一部を写したものであって、原本と同一の法的効力を有し、許可証に記載された数量の範囲内で使用できるものをいう。 |
目次
第1章 一般的管理原則
第1条
第2条
第3条
第4条
第5条
第2章 各種管理方法に関する固有の規則
セクションA 従来の貿易実績に基づく方法
第6条
第7条
第8条
第9条
第10条
第11条
セクションB 申請提出の先着順に基づく方法
第12条
セクションC 要請された数量に比例して割当を行う方法
第13条
セクションD 再分配のための数量の割当
第14条
第3章 輸入または輸出許可証に関する規則
第15条
第16条
第17条
第18条
第19条
第20条
第21条
第4章 最終規定
第22条
第23条
第24条
第25条
第26条
第27条
附属書I 廃止された規則およびその一連の改正規則のリスト
附属書II 旧規則 (EC) No 520/94 と本規則との相関表
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 数量割当管理のための共同体手続の確立に関する2008年7月17日付け理事会規則(EC)No 717/2008 |
| 公布日 | 2008年07月26日 |
| 所管当局 | 欧州対外行動庁、総局I(対外関係:通商政策ならびに北米・極東・オーストラリア・ニュージーランド関係担当) |
作成者
株式会社 先読 + 齋藤 由貴子