解説EU-不公正取引行為指令(UCPD)

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法令の情報時期:2022年05月 統合版 ページ作成時期:2026年05月

目的

目的

本指令の目的は、消費者の経済的利益を害する不公正な取引行為に関する加盟国の法律、規制および行政規定を相互に調和させることにより、域内市場の適切な機能に寄与し、高い水準の消費者保護を実現することである。

概要

概要

本指令は、EUにおける消費者保護法の柱の一つであり、BtoC(事業者から消費者への)取引において、消費者の経済的行動を歪めるような「不公正な取引行為」を包括的に禁止している非常に重要な法令である。また、指令 (EU)No 2019/2161(通称「オムニバス指令」)によって、デジタル市場におけるオンラインレビューのサクラ行為や、検索結果の順位表示の不透明性などに対応するための重要な改正も加えられている。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

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貴金属製品の純度証明・表示
加盟国が定める金や銀などの貴金属製品の純度(品位)の証明や表示に関する法・規制・行政規定の適用には、本指令は適用されない。(第3条 第10項)

他のEU規則との衝突
不公正な取引方法の特定の側面を規制する他のEU規則と本指令の規定が衝突する場合、その特定の側面については他のEU規則が優先して適用される第3条 第4項)

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
要件スケジュール
対象者
要件
スケジュール
事業者
改正
1. 定義の追加(第2条)
改正
2. 誤導的な行為の拡張(第6条)
改正
3. 重要な情報の不作為(第7条)(「比較ツール」における透明性義務の追加)
改正
4. 附属書I(一律禁止のブラックリスト)への追加
2026
2027
2026/09/27〜
2026/09/27〜
2026/09/27〜
2026/09/27〜
情報伝達、連絡

事業者は、消費者に対する不公正な取引方法を行ってはならない 。
具体的な要件として、プロとしての「専門的勤勉性」に反する行為や 、消費者の合理的な判断力を著しく損なって本来しないはずの取引をさせる行為が禁止される。(詳しくは第5条第1項参照)

事業者は、製品の性質、主たる特徴、価格、消費者の権利などについて、虚偽の情報を伝えて欺く行為、または事実であっても全体として消費者を誤認させ、本来しないはずの取引決定をさせるような誤導的なマーケティングを行ってはならない。また、業界の行動規範(自主規制)を遵守すると明示しながら、その確実な約束を守らない行為も禁止される。(詳しくは第6条第1項・第2項参照)

事業者は、消費者が十分な情報に基づいて取引判断を下すために必要な「重要な情報」を省略(不作為)したり、不明瞭・曖昧・不適切なタイミングで提供したり、商業目的であることを隠したりしてはならない。(詳しくは第7条第1項・第2項参照)

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製品の特徴や価格を提示して消費者に具体的な購入を促す際(購入の誘引)、事業者は以下の情報を「重要な情報」として消費者に明示しなければならない 。
・製品の主たる特徴
・事業者の商号、所在地および身元
・税込みの総額(事前に計算できない場合は計算方法)および追加の運賃や配送手数料
・代金支払、引渡し、履行の取決め(専門的勤勉性の要件から外れる場合)
・撤回権や解約権がある場合は、その権利の有無
・オンラインマーケットプレイスの場合、出品している第三者が「事業者であるか否か」(出品者の自己申告に基づく)
(詳しくは第7条第4項参照)

事業者がオンラインインターフェース上で、消費者がキーワード等で製品を検索できる機能を提供する場合、検索結果を提示するページから直接かつ容易にアクセスできる専用セクションにおいて、製品のランキングを決定する「主なパラメーター」と「それらの相対的な重要性」に関する一般的な情報を、重要な情報として消費者に明示しなければならない。(詳しくは第7条第4a項参照)

事業者が製品の顧客レビューへのアクセスを提供する場合、掲載されているレビューが、実際にその製品を使用または購入した消費者からのものであることを確保しているかどうか、また、どのように確保しているかという情報を、重要な情報として明示しなければならない(詳しくは第7条第6項参照)

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事業者は、嫌がらせ、強制、または優越的地位の乱用等の不当な影響力を用いて、消費者の選択の自由や行動を著しく損ない、本来しないはずの取引決定をさせるような強引な取引方法を行ってはならない。具体的な判断基準として、タイミングや脅迫的な言動の有無が考慮される。(詳しくは第8条、第9条参照)

事業者は、消費者の経済的行動に与えた影響の度合いにかかわらず、以下のような「常に不公正」とされる行為を行ってはならない
【誤導的な取引方法の例】
・実際には認められていないのに、公的機関などの承認や推奨を得ていると偽る行為
・「期間限定」「数量限定」と偽り、消費者に今すぐ購入を急がせる行為
・実際には販売する意思がない、または十分な在庫がない目玉商品を広告し、別の商品を買わせようとする行為(おとり広告)
・実際には事業活動を行っているのに、消費者個人を装ってレビューを書いたり、商品を販売したりする行為
【強引な取引方法の例】
・消費者が「帰ってほしい」と要求したにもかかわらず、自宅に居座り続ける行為(強引な訪問販売)
・電話、メール、FAXなどを用いて、消費者の要望に反して執拗かつ迷惑な勧誘を繰り返す行為
・子どもに対して、親や大人にその商品を買ってもらうよう直接せがむように仕向ける広告行為
・実際には発生していないのに、「今すぐこの商品を買わないと、あなたの仕事や生活が破滅する」といった恐怖を植え付ける行為
・消費者が注文していない商品を送りつけ、代金の支払いや返送・保管の義務を一方的に課す行為(送りつけ商法)(詳しくは附属書I参照)

注目定義

<対象者>

■ 「消費者」(consumer)

「消費者」とは、本指令の対象となる取引行為において、自身の商売、事業、手工業、または職業の範囲外の目的で行動するすべての自然人をいう。

■ 「事業者」(trader)

「事業者」とは、本指令の対象となる取引行為において、自身の商売、事業、手工業、または職業に関連する目的で行動するすべての自然人または法人、および事業者の名において、もしくは事業者に代わって行動するすべての者をいう。

■ 「規範管理者」(code owner)

「規範管理者」とは、単独の事業者または事業者のグループを含む、行動規範の策定および改定、ならびに/あるいは、その規範に拘束されることを引き受けた者による規範の遵守状況の監視に対して責任を負う、あらゆる主体をいう 。

<対象製品>

■ 「製品」(product)

「製品」とは、不動産、デジタルサービス、デジタルコンテンツ、ならびに権利および義務を含む、すべての物品またはサービスをいう。

■ 「事業者対消費者の取引行為」(business-to-consumer commercial practices)

「事業者対消費者の取引行為」とは、事業者による消費者への製品のプロモーション、販売、または供給に直接関連する、あらゆる行為、不作為、行動様式、表明、および広告やマーケティングを含む商業通信をいう 。

■ 「消費者の経済的行動を実質的に歪めること」(to materially distort the economic behaviour of consumers)

「消費者の経済的行動を実質的に歪めること」とは、商取引行為を用いて、消費者が十分な情報に基づいた決定を下す能力を著しく損ない、それによって消費者に、そうでなければ下さなかったであろう取引上の決定を行わせることをいう 。

■ 「行動規範」(code of conduct)

「行動規範」とは、加盟国の法律、規則、または行政規定によって義務付けられたものではなく、1つ以上の特定の商取引行為または事業部門に関連して、その規範に拘束されることを引き受けた事業者の行動を定義する、合意または一連の規則をいう 。

■ 「購入の勧誘」(invitation to purchase)

「購入の勧誘」とは、使用される商業通信の手段に適した方法で製品の特徴および価格を表示し、それによって消費者が購入を行うことを可能にする商業通信をいう 。

■ 「不当な影響力」(undue influence)

「不当な影響力」とは、身体的な力の行使やその脅迫を伴わない場合であっても、消費者が十分な情報に基づいた意思決定を行う能力を著しく制限するような方法で、消費者に対する優位な立場を利用して圧力をかけることをいう。

■ 「取引決定」(transactional decision)

「取引決定」とは、消費者が行動を起こすか否かにかかわらず、製品を購入するか、購入方法や購入条件はどうするか、代金の全部または一部を支払うか、製品を保有し続けるか処分するか、あるいは製品に関する契約上の権利を行使するか否かについて、消費者が行うすべての決定をいう。

■ 「規制対象職業」(regulated profession)

「規制対象職業」とは、法令または行政規定に基づき特定の職業資格を保有していることが、直接または間接的にその職業への参入、その遂行、あるいは遂行方法の一つの条件となっている専門的活動またはその集団をいう。

■ 「ランキング(順位付け)」(ranking)

「ランキング(順位付け)」とは、その提示、組織化、または伝達に用いられる技術的手段を問わず、事業者が提示、組織化、または伝達する製品に与えられる相対的な目立ちやすさ、優位性をいう。

■ 「オンラインマーケットプレイス」(online marketplace)

「オンラインマーケットプレイス」とは、事業者が運営する、または事業者に代わって運営される、ウェブサイト、ウェブサイトの一部、またはアプリケーションを含むソフトウェアを用いたサービスであり、消費者が他の事業者や消費者と電子商取引などの遠隔地契約を締結できるものをいう。

目次

第1章 一般規定

第1条 目的

第2条 定義

第3条 適用範囲

第4条 域内市場

第2章 不公正な取引行為

第5条 不公正な取引行為の禁止

セクション1 誤認を招く取引行為

第6条 誤認を招く作為

第7条 誤認を招く不作為

セクション2 強引な取引行為

第8条 強引な取引行為

第9条 嫌がらせ、強要、不当な影響力および武力の行使

第3章 行動規範

第10条 行動規範

第4章 最終規定

第11条 法執行

第11条a 救済

第12条 裁判所および行政当局への主張の立証

第13条 罰則

第14条 指令No 84/450/EECの改正

第15条 指令No 97/7/ECおよびNo 2002/65/ECの改正

第16条 指令No 98/27/ECおよび規則(EC)No 2006/2004の改正

第17条 情報

第18条 見直し

第19条 国内法への導入

第20条 発行日

第21条 名宛人

附属書 I  いかなる状況下でも不公正とみなされる取引行為(ブラックリスト)

附属書 II  広告および商業コミュニケーションに関する規則を定める共同体法の規定

基礎情報

法令(現地語)

Directive 2005/29/EC of the European Parliament and of the Council of 11 May 2005 concerning unfair business-to-consumer commercial practices in the internal market and amending Council Directive 84/450/EEC, Directives 97/7/EC, 98/27/EC and 2002/65/EC of the European Parliament and of the Council and Regulation (EC) No 2006/2004 of the European Parliament and of the Council (Unfair Commercial Practices Directive)

法令(日本語)

域内市場における企業対消費者の不公正な取引行為に関する2005年5月11日付け欧州議会および理事会指令No 2005/29/EC(不公正取引行為指令)(理事会指令No 84/450/EEC、指令No 97/7/EC、 No 98/27/ECおよびNo 2002/65/ECならびに欧州議会および理事会規則(EC)No 2006/2004を改正)

公布日

2005年6月11日

所管当局

欧州委員会 司法・消費者総局(DG JUST)

作成者

株式会社先読

株式会社 先読 + 齋藤 由貴子

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