タイ|保健省および工業省、揮発性物質(吸入剤)となる化学物質もしくは製品に関する告示を発出

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タイ|保健省および工業省、揮発性物質(吸入剤)となる化学物質もしくは製品に関する告示を発出

2021年に施行された「薬物法典」に基づくもの

2024年01月23日、保健省および工業省連名により揮発性物質(吸入剤)となる化学物質もしくは製品の名前、種類、タイプに関する告示が官報公布されました。この告示は官報公布日より30日の猶予を経て発効となります。

本告示発出の理由

2021年に施行された「薬物法典」第24条第一段及び第24条(1)において保健大臣および工業大臣が麻薬取締委員会の助言により揮発性物質(吸入剤)※となる化学物質もしくは製品の名前、種類、タイプ、パッケージサイズに関する規定を公表する権限を有する旨が規定されています。本告示はこの規定に基づき発出されたものです。

※揮発性物質(吸入剤)とは
スプレー塗料やマーカー、接着剤、洗浄剤など、家庭や職場でよく見かけるさまざまな製品に含まれている揮発性物質を吸入して高揚感を得るために使用する場合、この揮発性物質のことを吸入剤と呼びます。この記事では分かりやすいように揮発性物質(吸入剤)と記しています。

本告示の内容

■ 以下の化学物質(同じ化学構造を持つ別名称の化学物質を含む)を揮発性物質(吸入剤)と規定しています。

化合物名 化学名 別名 CAS番号

芳香族炭化水素
Aliphatic hydrocarbon
脂肪族炭化水素
Aromatic hydrocarbon

トルエン
Toluene
メチルベンゼン
methylbenzene
108-88-3
ケトン
Ketone
アセトン
Acetone
プロパン-2-オン
propan-2-one
67-64-1
メチルエチルケトン(MEK)
Methyl ethyl ketone
2-ブタノン
butan-2-one
78-93-3
メチルイソブチルケトン (MIBK)
Methyl isobutyl ketone
4-メチル-2-ペンタノン
4-methylpentan-2-one
108-10-1
エステル
Ester
酢酸エチル
Ethyl acetate
  141-78-6
酢酸セロソルブ
Cellosolve acetate
エチレングリコール酢酸モノエチル
Ethylene glycol monoethyl ether acetate
酢酸2-エトキシエチル
2-ethoxyethyl acetate
111-15-9
酢酸メチル
Methyl acetate
  79-20-9
酢酸n-ブチル
n-Butyl acetate
酢酸ブチル
butyl acetate
123-86-4
酢酸sec-ブチル
sec-Butyl acetate
ブタン-2-イルアセタート
butan-2-yl acetate
105-46-4
揮発性亜硝酸アルキル
Volatile alkyl nitrite
亜硝酸アミル
Amyl nitrite
亜硝酸3-メチルブチル
3-methylbutyl nitrite
110-46-3
亜硝酸シクロヘキシル
Cyclohexyl nitrite
  5156-40-1
亜硝酸エチル
Ethyl nitrite
  109-95-5
亜硝酸イソブチル
Isobutyl nitrite
亜硝酸2-メチルプロピル
2-methylpropyl nitrite 
542-56-3
亜硝酸イソプロピル
Isopropyl nitrite  
プロパン-2-イル ニトリット
propan-2-yl nitrite
541-42-4
亜硝酸n-ブチル
n-Butyl nitrite 
亜硝酸ブチル
butyl nitrite
544-16-1
エーテル
Ether
ブチルセロソルブ
Butyl cellosolve
エチレングリコールモノブチルエーテル
Ethylene glycol monobutyl ether 
2‐ブトキシエタノール
2-butoxyethanol
111-76-2
セロソルブ
Cellosolve
エチレングリコールモノエチルエーテル
Ethylene glycol monoethyl ether
2-エトキシエタノール
2-ethoxyethanol
110-80-5
メチルセロソルブ
Methyl cellosolve
エチレングリコールモノメチルエーテル
Ethylene glycol monomethyl ether
2-メトキシエタノール
2-methoxyethanol
109-86-4

■ 前述の化学物質のうち1種類もしくは数種類を含む以下の名称もしくは他名称で呼ばれる製品を揮発性物質(吸入剤)と規定しています。
  ・シンナー (Thinners) 
  ・ラッカー(Lacquers)
  ・ネオプレン(Neoprene)、ビニル樹脂(Vinyl resin )を結合剤として使用している有機合成接着剤 (Synthetic organic adhesives)
  ・ロジン(Rosin)、天然ゴム(Natural rubber)もしくはイソプレン(Isoprene)、 結合セルロース(Cellulosecompounds)を結合剤として使用している天然有機接着剤(Natural organic adhesives)
  ・サイエンスバルーン、プラスチックバルーン(Blowing Balloon)
   ※訳者注:分析の結果、揮発性物質として分類される酢酸エチルが含まれていたことが判明している

薬物法典とは 

タイでは2021年に麻薬、向精神薬そして揮発性物質の各関連法を統合した新たな「薬物法典」が「仏暦2564年(西暦2021年)薬物法典(麻薬法典)を施行する法律」により新たに施行されました。この「薬物法典」の主な特徴としてまず、病気の治療や応急処置など、医療目的で使用する麻薬に関し、必要量であれば許可を得ず製造、輸出入、販売もしくは所持することが認められたことが挙げられるでしょう。また薬物犯罪を公衆衛生と健康問題の観点から捉えるという国際社会の潮流に則り、薬物使用者を矯正施設に収容するのではなく教育する方向に切り替えていくという薬物問題の新たな施策ともなっています。法典の中では薬物依存のリハビリテーションなどについても規定されています。

参考情報

保健省および工業省告示 揮発性物質(吸入剤)となる化学物質または製品の名前、種類、タイプの規定」2024年01月23日官報公布、官報公布日より30日後発効(2024年01月15日発出)

薬物法典(麻薬法典)を施行する法律 仏暦2564年 (西暦2021年)」
※この法律の附属書として「薬物法典(麻薬法典)」が添付されています。

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