| 法令の情報時期:2019年07月 統合版 | ページ作成時期:2026年06月 |
目的
本指令は、職場における人工光放射へのばく露から生じるリスクから労働者を保護することを目的として、以下の事項を定めている。
■ 労働者の安全および健康(特に眼と皮膚への悪影響)に対するリスクを防止するための最低要件を確立する。
■ 人工光放射に起因する既知のすべての健康被害から労働者を保護するための「ばく露限界値(ELVs)」を遵守することを確実にする。
概要
本指令は、労働安全衛生枠組み指令(89/391/EEC)の第16条第1項に基づく「第19個別指令」と位置付けられている。
■ 背景と問題意識:職場における紫外線、可視光線、赤外線などの人工的な光放射は、眼(角膜、網膜、水晶体等)や皮膚に対して、光化学的な損傷や熱的な損傷(火傷、紅斑、白内障等)を引き起こすリスクがある。
■ 適用範囲:職場において人工光放射によるリスクを受ける、または受ける可能性があるすべての労働者に適用される。
■ 主な事業者要件:ばく露レベルの評価(測定・計算)、ばく露限界値の遵守、リスク低減措置の実施、および健康監視の提供。
■ 施行時期:各加盟国は2010年4月27日までに、本指令を遵守するために必要な国内法等を施行した。
事業者が注意すべき内容
| 本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |
リスク評価とばく露レベルの決定
■ ばく露レベルの評価・測定・計算:人工光放射にばく露される労働者がいる場合、そのレベルを評価し、必要に応じて測定または計算を行わなければならない(第4条第1項)。
■ 標準的な手法の採用:評価手法は、レーザー放射については国際電気標準会議(IEC)、非コヒーレント放射については国際照明委員会(CIE)等の基準に従わなければならない(第4条第1項)。
■ 専門家による実施と記録:評価等は、適切な間隔で計画・実施し、結果は後日参照可能な形で保存しなければならない(第4条第2項)。
■ 評価時の重点項目:放射の波長、持続時間、限界値(ELVs)、敏感なリスクグループへの影響、光過敏性化学物質との相互作用、間接的影響(一時的な盲目、火災等)に特段の注意を払う必要がある(第4条第3項)。
■ 評価結果の更新:リスク評価は定期的に、または職場に重大な変更があった際や健康監視の結果により必要とされた際に更新しなければならない(第4条第4項)。
リスクの回避および低減措置
■ リスクの最小化:技術進歩を考慮し、リスクを発生源で排除または最小限に抑えなければならない(第5条第1項)。
■ アクションプランの実施:ばく露限界値(ELVs)を超える可能性がある場合、代替作業方法、低放射設備の選択、技術的措置(インターロック、遮蔽等)、保守管理を含むアクションプランを策定し実施しなければならない(第5条第2項)。
■ 標識掲示とアクセス制限:限界値を超える可能性がある場所には安全標識を掲示し、可能な場合はアクセスを制限しなければならない(第5条第3項)。
■ 限界値超過時の即時対応:労働者を限界値を超えてばく露させてはならない。超過が判明した場合は直ちに低減措置を講じ、原因を特定して再発防止策を講じる義務がある(第5条第4項)。
情報の提供、協議、および健康監視
■ 労働者への教育:リスク評価の結果、健康被害の検出・報告方法、安全な作業慣行、個人用保護具(PPE)の使用方法について、教育とトレーニングを提供しなければならない(第6条)。
■ 労働者との協議:本指令が対象とする事項について、労働者またはその代表者と協議し、参加を求めなければならない(第7条)。
■ 健康監視の提供:健康被害の早期発見のため、適切な健康監視を実施しなければならない。限界値超過や疾病が判明した場合は、当該労働者に医学的診断を提供し、リスク評価と対策を再検討しなければならない(第8条)。
将来的に事業者へ影響を及ぼすと思われる内容
■ 技術的進歩に伴う附属書の修正:欧州委員会は、科学的知見の変化や技術的進歩に基づき、附属書の技術的な内容(計算式やパラメータ等)を修正する権限を有している(第10条)。これにより、将来的に事業者が遵守すべき詳細な基準が変更・拡大される可能性がある。
注目定義
■ 「レーザー放射」(laser radiation)
| レーザーから放出される光放射。 |
■ 「非コヒーレント放射」(non-coherent radiation)
| レーザー放射以外のあらゆる光放射。 |
■ 「ばく露限界値 」(exposure limit values)
| 確立された健康への影響および生物学的な考慮事項に基づく、光放射へのばく露の制限値。これらの限界値を遵守することにより、人工光源からの光放射にばく露される労働者が、既知のすべての健康への悪影響から保護されることが確実になる。 |
■ 「放射照度または電力密度」(irradiance (E) or power density)
| 表面に入射する単位面積当たりの放射電力であり、平方メートル当たりのワット数 (W m⁻²) で表される。 |
■ 「放射露光量」(radiant exposure (H))
| 放射照度の時間積分であり、平方メートル当たりのジュール数 (J m⁻²) で表される。 |
■ 「放射輝度」(radiance (L))
| 単位立体角当たり、単位面積当たりの放射束または出力であり、平方メートル当たり、ステラジアン当たりのワット数 (W m⁻² sr⁻¹) で表される。 |
■ 「レベル」(level)
| 労働者がばく露される放射照度、放射露光量、および放射輝度の組み合わせを指す。 |
目次
第I節:一般規定
第1条:目的および範囲
第2条:定義
第3条:ばく露限界値
第II節:雇用主の義務
第4条:ばく露の決定およびリスク評価
第5条:リスクの回避または低減を目的とした規定
第6条:労働者への情報提供およびトレーニング
第7条:労働者の協議および参加
第III節:雑則
第8条:健康監視
第9条:罰則
第10条:附属書の修正
第10a条:委任権限の行使
第10b条:緊急手続
第IV節:最終規定
第13条:実務ガイド
第14条:国内法化
第14a条:マイヨット島に関する猶予
第15条:発効
第16条:宛先
附属書I:非コヒーレント光放射
附属書II:レーザー光放射
基礎情報
| 法令(現地語) | |
| 法令(日本語) | 物理的要因(人工光放射)から生じるリスクへの労働者のばく露に関する安全衛生最低要件に関する2006年4月5日付欧州議会および理事会指令2006/25/EC(指令89/391/EEC第16条第1項の意味における第19個別指令) |
| 公布日 | 2006年04月27日 |
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