2026年08月25日、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は、国連砂漠化対処条約(UNCCD)、生物多様性条約(CBD)およびUNFCCCの三事務局長による共同論考「2026年のトリプルCOP年が事業者にとって意味するもの」を掲載しました。同年に三つの条約の締約国会議(COP)が相次いで開催されることを踏まえ、気候変動、生物多様性の損失および土地の劣化を一体の経営課題として扱うよう事業者に促す内容です。
論考は、これらの問題が食料供給、水の利用可能性、インフラ、医療費および労働生産性に複合的な影響を及ぼしており、事業者にとっては資産の毀損、投入コストおよび保険料の上昇、熱波による労働者への影響という形で顕在化していると指摘しています。他方で、世界のグリーン経済は既に年5兆ドルを超える規模に達しており、2030年までに7兆ドルを超えると見込まれるとして、事業機会の側面も示しています。執筆者はヤスミン・ファウアードUNCCD事務局長、アストリッド・シューメーカーCBD事務局長およびサイモン・スティエルUNFCCC事務局長で、初出は2026年08月24日の世界経済フォーラムです。
三つのCOPと事業者向けフォーラムの日程
- UNCCD COP17「Business4Land Forum」:モンゴル・ウランバートル、2026年08月24日
- CBD COP17「Business Forum」:アルメニア・イェレヴァン、2026年10月25日
- UNFCCC COP31「Business & Investment Summit」:トルコ・アンタルヤ、2026年11月12日〜13日
論考が示す経済的損失の規模
- 土地の劣化、砂漠化および干ばつによる損失:年間約878億ドル
- 干ばつ関連の損失:年最大7.5%の割合で増加する見通し
- 気候関連災害による被害:今世紀を通じて3.6兆ドル
- 送粉昆虫の減少により危機に瀕する農業生産:年5,770億ドル
事業機会と投資のギャップ
論考は、グリーン分野の収益が従来型事業の2倍の速さで成長しているとしたうえで、事業機会として次の分野を挙げています。
- アグロフォレストリー(農林複合経営)
- 電池のリサイクル
- 産業用水の管理システム
- 自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)
- パリ協定第6条に基づく炭素市場
- 放牧地の持続可能な管理および回復
- 食料システムの干ばつ耐性の強化
自然を活用した解決策は現在6,000万人の雇用を支えており、2030年までにさらに3,200万人分の増加余地があるとされます。他方、2023年の民間部門の投資は、自然を損なう活動に4.9兆ドルが向けられたのに対し、自然を活用した解決策には230億ドルにとどまり、両者には30対1の開きがあると指摘されています。
事業者への示唆
論考は、成果を上げている企業は気候・生物多様性・土地の課題をサステナビリティ担当部門だけの責務とせず、全部門の中核業務として扱い、報酬および説明責任の仕組みに関連指標を結び付けていると述べています。そのうえで、2026年のトリプルCOP年は、政府と事業者が約束の交渉にとどまらず、実装に必要な市場、政策枠組み、制度およびパートナーシップを共に作る機会であるとしています。
参考情報
UNFCCC「What the 2026 triple COP year means for business」
https://unfccc.int/news/what-the-2026-triple-cop-year-means-for-business
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