2026.09.18
米国|カリフォルニア州知事、労働者保護とAI生成広告の情報開示義務化を定めた新法に署名
2026年9月16日、米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、生成AIによって作られた「合成パフォーマー」を目立つ形で用いた広告に、その旨の明確かつ目立つ開示を義務付ける上院法案1050号(SB 1050、アシュビー上院議員提出)に署名しました。同法はビジネス・専門職法典(Business and Professions Code)に合成パフォーマーに関する新たな規定(第17610条)を追加するもので、開示を欠いたまま合成パフォーマーを目立つ形で含む広告を作成し、広告媒体に掲載させる行為を違法な広告行為と位置付けます。違反は同法典第17500条の虚偽広告に該当し、第17200条以下の不正競争法の規定により執行されます。さらに、裁判所が違反を認定し、または差止命令を発した場合、その命令の送達を受けた広告媒体は、州内での当該広告の配信を停止しなければなりません。表現的著作物の広告や、翻訳・アクセシビリティ目的に限った生成AIの利用は、適用対象外とされています。
「合成パフォーマー」の定義
合成パフォーマーとは、生成AIを用いて全部または一部が作成されたデジタルの人物像、音声または表現であって、特定可能な自然人としては識別されない人間の実演者による実演であるかのような現実的な印象を与えるものをいいます。実在の人物に似せた表現ではなく、「架空の人間に見えるもの」を捉える定義です。
開示が必要となる場合
開示が求められるのは、合成パフォーマーが広告に「目立つ形で(prominently)」含まれる場合です。具体的には、次のいずれかに当たる場合とされています。
- 前景に登場し、製品またはサービスを実演・説明している
- 画面内外のナレーションまたは商業メッセージを提供し、または声を当てている
- 画面内外のナレーションまたは商業メッセージを説明し、またはこれに反応している
開示の方法
開示は「明確かつ目立つ開示」でなければなりません。これは、見落としにくく、理解しやすく、合理的な消費者が気付き、読み、理解できる方法で示されたものをいい、広告の媒体・形式・文脈を考慮して判断されます。文言は「this performance features a synthetic performer」または「no human performer is depicted」と実質的に同様のものを用いることとされています。
広告媒体の義務
広告媒体には、放送局、ケーブル事業者、多チャンネル映像番組配信事業者、オンラインプラットフォーム、ストリーミングサービス、デジタル広告ネットワーク、出版者などが含まれます。裁判所が当該広告の違反を認定し、または作成者に対する差止命令を発し、その命令と広告を特定するに足る情報が送達された場合、広告媒体は商業上合理的かつ技術的に可能な限り速やかに、次の対応を行わなければなりません。
- 州内での当該広告の削除、アクセスの遮断、または配信の停止
- 当該広告のさらなる配信に対する支払の受領の停止
なお、広告の削除・アクセス遮断・配信停止を行う能力を有しない者は、広告媒体に含まれません。
適用除外
- 映画、テレビ番組、ストリーミングコンテンツ、ドキュメンタリー、ビデオゲームなどの表現的著作物の広告・宣伝物。ただし、広告での合成パフォーマーの用いられ方が、当該著作物における用いられ方と整合している場合に限る
- 生成AIの利用が、実演者の発話の言語翻訳またはアクセシビリティ機能のみにとどまる広告
また、同条は合成コンテンツの制作・配信・上映自体を制限するものではなく、広告の表現内容そのものを規律するものでもないとされています。
事業者への対応事項
カリフォルニア州の消費者向けに音声・映像広告を配信する広告主および広告制作者は、生成AIで作成した人物・音声を広告に用いているかを確認し、目立つ形で用いている場合には所定の開示を付す必要があります。広告媒体側では、裁判所命令の送達を受けた際に、対象広告を速やかに特定して配信を停止し、課金を止める運用手順を整えておくことが求められます。同法案は2026年2月12日に提出され、8月31日に州上下両院で可決、9月4日に登録(enrolled)されたうえで、9月16日に知事が署名しました。
参考情報
カリフォルニア州知事室「Governor Newsom signs new law to protect workers, require disclosures on AI-generated advertising」
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