国際|ロッテルダム条約委、クロム酸鉛類等の附属書III掲載を勧告
2026年9月21日、ロッテルダム条約(PIC条約)の事務局は、同条約の化学物質検討委員会(CRC)第22回会合の結果を公表しました。会合は2026年9月15日から18日まで、国連食糧農業機関(FAO)本部(イタリア・ローマ)で開催されました。委員会は、有機リン系殺虫剤であるメチルパラチオンについて決定指針文書(DGD)の案を最終化し、附属書IIIへの掲載を勧告しました。あわせて、塗料、コーティングおよびプラスチックの工業用顔料として用いられるクロム酸鉛類についても、工業用化学物質として附属書IIIへの掲載を勧告しています。これらの勧告は、2027年4月19日から30日までパナマシティで開催される締約国会議(COP)に諮られます。塗料、コーティング、プラスチックの製造・輸出入に関わる事業者にとって、今後の手続の進み方を把握しておくべき動向です。
掲載が勧告された化学物質
- メチルパラチオン(methyl-parathion):有機リン系殺虫剤。委員会は決定指針文書の案を最終化しました。事務局は、急性中毒を通じた人の健康への重大なリスクと関連する、高い有害性を有する物質であると説明しています。同物質は、既に著しく危険な農薬製剤として附属書IIIに掲載されています
- クロム酸鉛類(lead chromates):工業用化学物質の分類での掲載が勧告されました。塗料、コーティングおよびプラスチックに用いられる工業用顔料であり、鉛と六価クロムをいずれも含むことから、人の健康への重大なリスクがあると説明されています
プレスリリースには、個別の化合物名やCAS番号の記載はありません。
附属書III掲載の効果
事務局は、附属書IIIへの掲載の効果について次のとおり説明しています。
「締約国会議が当該化学物質を条約の附属書IIIに掲載することを決定した場合、当該物質は条約に基づく事前のインフォームド・コンセント(PIC)手続の対象となる。その結果、各国は将来の輸入に関する情報に基づいた判断を行うための充実した情報を受け取り、また、輸入に同意するか否かについての他の締約国の決定を尊重する義務を負うことになる。」
今後の手続
- メチルパラチオンは、決定指針文書の案が最終化されており、パナマで開催される締約国会議に送付されます
- クロム酸鉛類は、締約国会議での検討の前に、決定指針文書の案の作成という次の段階に進みます
会合のその他の成果
委員会は、国連の全地域の締約国から提出された28件の最終規制措置の通報を検討しました。また、著しく危険な農薬製剤に関する今後の提案を支えるため、人の健康への影響と環境への影響に関する2種類の新たな事故報告様式を承認しました。
事業者への影響
今回の発表は委員会による勧告の段階であり、締約国会議での決定を経なければ附属書IIIへの掲載は生じません。プレスリリースには、企業や産業界に対する義務についての記載はありません。もっとも、クロム酸鉛類が掲載された場合、その輸出入は事前のインフォームド・コンセント手続の対象となります。黄色系・赤色系の顔料としてクロム酸鉛類を使用する塗料、コーティング、プラスチック製品を国際的に取引する事業者は、2027年4月の締約国会議に向けて、使用実態の把握と代替材料の検討を進める余地があります。
参考情報
バーゼル条約・ロッテルダム条約・ストックホルム条約事務局「CRC.22 プレスリリース」
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