2026年9月14日、米国通商代表部(USTR)は、2027年版「外国貿易障壁報告書」(National Trade Estimate Report、NTE報告書)の作成に向け、外国の貿易障壁に関する意見募集を連邦官報で開始しました(91 FR 58247、整理番号 USTR-2026-0498)。NTE報告書は、1974年通商法第181条(19 U.S.C. 2241)および1988年包括通商競争力法第1377条(19 U.S.C. 3106)に基づき、米国の物品・サービスの輸出や対外直接投資を著しく妨げ、または歪めている外国の措置を毎年取りまとめるものです。今回の募集では、日本、中国、EU、インド、メキシコ、韓国など76の貿易相手国・地域等を対象に、輸入政策、技術的貿易障壁、知的財産保護、政府調達など15の分野について、具体的な障壁の指摘を求めています。提出期限は2026年10月29日午後11時59分(米国東部夏時間)です。
指摘が求められる15の分野
貿易政策スタッフ委員会(TPSC)は、次の分野について情報を求めています。
- 輸入政策
- 技術的貿易障壁
- 衛生植物検疫措置
- 政府調達
- 知的財産保護
- サービス
- 投資
- 補助金
- 競争制限的な慣行
- 国有企業
- 非市場的政策
- 労働
- 環境
- 関税回避および積替え
- その他の障壁
「関税回避および積替え」「非市場的政策」「国有企業」が独立した分野として掲げられている点は、近年の米国の通商政策上の関心を反映するものです。
対象となる貿易相手国・地域
対象は76の貿易相手国・地域等です。アジア太平洋では日本、中国、韓国、台湾、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドなどが、その他の地域ではEU、英国、スイス、ノルウェー、カナダ、メキシコ、ブラジル、トルコ、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどが含まれます。国・地域に加え、アラブ連盟も対象とされています。
提出にあたって求められる事項
- 障壁が撤廃された場合に見込まれる米国の輸出増加額を、次の区分で示すことが求められます。2,500万ドル未満/2,500万ドル以上1億ドル未満/1億ドル以上5億ドル未満/5億ドル超。
- 提出は電子的な方法によることとされ、持参による提出は受け付けられません。
- 営業上の秘密情報(BCI)を含む提出には、秘密情報であることの証明が必要です。BCI版はファイル名の冒頭を「BCI」とし、各ページに「BUSINESS CONFIDENTIAL」と表示するとともに、ファイル名の冒頭を「P」とした公開版も併せて提出しなければなりません。
事業者にとっての意味
NTE報告書は、米国政府が二国間協議や通商交渉、通商法上の措置を検討する際の基礎資料として用いられます。したがって、米国向けに輸出する事業者や米国企業の海外子会社にとっては、自社が直面している相手国の規制・手続上の障壁を報告書に反映させる機会となります。一方で、日本を含む各国に所在する事業者からみれば、自国の規制が「貿易障壁」として指摘され、その後の通商交渉や規制の見直しの論点となる可能性があります。自社に関係する分野について、どのような指摘がなされるかを把握しておくことが有用です。
参考情報
米国通商代表部(USTR)/連邦官報「Request for Comments on Significant Foreign Trade Barriers for the 2027 National Trade Estimate Report」(91 FR 58247)
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