2026年9月21日、EUの関税改革が発効しました。欧州委員会の発表によれば、今回の改革は、関税法典(Union Customs Code)の全面的な改正、EU税関当局(EU Customs Authority、EUCA)の設置、およびEU税関データハブ(EU Customs Data Hub)の創設を柱とするものです。改正後の関税法典は2026年9月19日に官報で公表され、EU税関当局は2026年9月20日に法的に設立されました。加盟国には12か月の実施期限が設けられています。EUへ物品を輸出し、または輸入する事業者にとっては、申告の窓口、手続、データの提出先が段階的に変わることになり、とりわけ電子商取引による小口貨物の取扱いが大きく変わります。
改革の三つの柱
- 関税法典(UCC)の改正:EUの関税運用に関する法的枠組みを組み替えるもので、「a single customs entry point for all customs operations across the EU」(EU全域の全ての税関手続についての単一の入口)を可能にする統合的な仕組みを創設します。手続の近代化、プロセスの調和、事務負担の軽減が目的とされています
- EU税関当局(EUCA):2026年9月20日に設立され、拠点はフランスのリールに置かれます。加盟国税関当局間の協力を強化し、EU全体でのリスク管理と国境における一貫した対応を可能にするとされています。業務の開始は2027年の見込みです
- EU税関データハブ:分断された加盟国ごとの税関ITシステムを置き換えるもので、EUへの輸入とEUからの輸出のための単一の貿易インターフェースを備えるとされています
今後のスケジュール
- 2026年9月21日:関税改革が発効
- 2026年11月:新たな取扱手数料の適用開始
- 2027年:EU税関当局の業務開始の見込み
- 2028年7月1日:電子商取引貨物について税関データハブの利用が義務化
- 2031年:その他の貿易についてデータハブの運用開始の期限
電子商取引・小口貨物の取扱い
事業者への影響が特に大きいのは、小口貨物に関する次の変更です。
- 150ユーロの関税免除(de minimis)の廃止
- 2026年7月1日から2028年7月までの間、暫定的な3ユーロの関税を適用
- 小口貨物についてEU全域で適用される取扱手数料の導入(金額は委任法により定められる)
- 2028年7月以降は通常の関税が適用される
期待される効果
欧州委員会は、税関データハブにより、加盟国の運用コストで年間23億ユーロ、事業者の事務負担コストで年間25.8億ユーロの節減が見込まれるとしています。
EU域内に輸出し、またはEUで輸入者として通関を行う事業者は、データハブへの接続時期、小口貨物に係る手数料および関税の取扱い、社内の通関実務やシステムの改修の要否について、あらかじめ確認しておくことが考えられます。
参考情報
European Commission「EU Customs Reform marks a new era for customs in Europe」(IP/26/1904)
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_26_1904
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